
芥川龍之介の王朝物みたいなタイプの小説です。本書では、中国の古典的な志怪小説に範をとり、独特の怪しげな・・・それでいてどこか憎めない人間くさい物の怪が出てくる怪談になっています。
出てくるのは、お役所に住み付いている「鬼仙」と呼ばれる女性の怪異。普段は悪さなどしないものの、人間がちょっかいを出すと、手酷いしっぺ返しをしてきたりする。それでいて、人間に対して優しく見守ってくれる土地神(産土神:うぶすながみ)のような面もあり、どうにも憎めない。
その鬼仙にまつわるお話を中心に幾つかの志怪小説が載っています。
夜中の就寝前に、一編づつ読んでいくと楽しいかもしれません。「聊斎志異」には及びませんが、後味も良い楽しめる怪談です。お好きな方はどうぞ。
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