具体例を挙げて説明的な話を・・・と言いつつもあまり具体的なものはなく、計量的な話も本書の対象外としつつ、結局はあまり意味があるとも思えない恣意的選択による統計の数字をあげたり、グラフを載せたりと何を主張したいのかよく分からない本です。
生活保護で養うよりは、労働させた方が社会的費用は安く済むなんて、いちいち説明するまでもないことをさも何か新しい知見のように書かれても、著者の独りよがり以外の何者でもないようにしか思えない。
働かなくても生きていけるなら、そして働きたくないなら働かなくてもいいだろうし、働きたくても結果として働けないなら一緒でしょ。
憲法で生存権が保障されているといっても、それは国家が財政的に許せる範囲というのが前提にあることさえ、分からない人が憲法を語って欲しくないなあ~。どんなものにもプライオリティがあり、空想の世界でないなら、当然、制約条件下の中でも最大の効用を図るってのは自明だし、ぶっちゃけ予算の余裕がなければ、国家は何も出来ない、それどころか夜警国家に徹しても最大限の費用を税として要求するものでしょうが・・・。
個人の趣味でボランティアするのはいいが、それを国家的な規模で国家の役目だなんて考えて欲しくないなあ~と思う。仕事がなくてお金を出すなら、その引き換えに国家は一定水準以上の労働を求めるべきでしょう。
一部の人が本当に苦労しながら労働し、体や精神をすり減らした代価の所得、そこにかかる税金からおこぼれに与ろうとする人達を許せないと考えるのは至極妥当且つ健全な感じもするんですけどね。
本書は本当にどこにでもありがちな、雰囲気を売るだけで新しい提言を含むような本ではありませんでした。
残念な感じです。読むのは時間の無駄でしょう。
むしろベタであっても本当に生活保護を必要とする人達に適切に行き届く為にはどうしたら良いか、そちらに重点を置くべきかと思った。
【目次】
第1章 なぜ、いま「若年無業者」について考えるべきなのか
第2章 「働くことができない若者たち」の履歴書
第3章 「働くことができない若者たち」への誤解
第4章 「無業社会」は、なぜ生まれたか?
第5章 「無業社会」と日本の未来
第6章 若年無業者を支援する社会システムのあり方
第7章 「誰もが無業になりうる社会」でNPOが果たす役割
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