2016年09月25日

「本で床は抜けるのか」西牟田 靖 本の雑誌社

本好きの人ならば、絶対に頭に浮かべないではいられない、このタイトルのみで読み始めました。
ぶっちゃけ内容はハズレ。

タイトル詐欺の本、とまでは言いませんが自炊本の話に床抜けは直結しませんよね?
少女漫画の図書館とかに至っては全く、どうでもいい無関係の話かと・・・小一時間うんぬん・・・。

別に病気で心変わりして本を捨てるようになろうとなかろうと、そんなことは愛書家の本で家の床が抜けそう・・・という差し迫った危機への対処には何の役にも立ちません。

まして著者のどうでもいい身辺問題も関係ありません。

このタイトルに惹かれて本書を紐解く読者が求めるものって決まっているでしょうに・・・。
適当なその場しのぎのたまたま自分が知っているそれっぽい建築家とか蔵書家の飲み屋の席で聞いたような言葉ではなく、取材するならば、きちんとした専門家にズバリ聞けばいいでしょうに。

木造やコンクリート、間取り、素材で床が抜けるまでの耐荷重は変わるでしょうし、当然、建築物だからそれが立つ地盤にも大きく左右されるのは容易に想像つきますが、まずは客観的なデータでしょう。
そして、どうすれば床が抜けなくて済むのかその回避策なり、対処策なりを提示。
実際に床を抜けたという人からの実体験に基づく話とかね。

適当に街に出回っている本や知人から聞いた範囲内で、しかも申し訳程度に取材(?)らしきものをされて本題から外れた点を延々と書いて頁稼ぎ、みたいな文書を書き連ねられてもねぇ~。
率直な感想でいうと使えねぇ~本だ。

昔読んだ屠畜の本で有名な内澤さんの部分も本書に必要なのかよくよく考えて欲しい。

国会図書館で本が崩れてもそれがどう床抜けに関係するのか?著者の思い付きとたまたま目に入ったニュースとかを結び付けただけの安易さを感じずにはいられない。

地震以後、一時、たくさんの人が命の危険を感じたのか? 古書が大量に出回っていたように感じましたが同様に、この床抜けなんか古くて新しい話でキャッチーだし、それを本のタイトルにした狙いはいいのに、中身がなくて残念過ぎる。
床が抜けるような話なら紀田順一郎氏のエッセイとかに出てくるような読書家なら普通にありそうだが、あちらのエッセイにはある内容の豊かさが無かったりする。

読書家で立花隆の仕事場というくだりもただ本や雑誌で仕入れたレベルの知識だし、書庫を立てる~の話も個人的にはあまり趣味でない書庫なうえに(本も流し読みしてつまらなかった)、床抜けとは話の次元が違ったりする。

本書を読んだ読書の大部分はがっかりするのではと思いました。
【目次】
はじめに
1 本で床が埋まる
2 床が抜けてしまった人たちを探しにいく
3 本で埋め尽くされた書斎をどうするか
4 地震が起こると本は凶器になってしまうのか
5 持ち主を亡くした本はどこへ行くのか
6 自炊をめぐる逡巡
7 マンガの「館」を訪ねる[前編]
8 マンガの「館」を訪ねる[後編]
9 本を書くたびに増殖する資料の本をどうするか
10 電子化された本棚を訪ねて
11 なぜ人は書庫を作ってまで本を持ちたがるのか
12 床が抜けそうにない「自分だけの部屋」
おわりに
参考文献

本で床は抜けるのか(amazonリンク)

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「ぼくはこんな本を読んできた」立花 隆 文藝春秋
「世界屠畜紀行」内澤旬子 解放出版社
ラベル:書評
posted by alice-room at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 本】 | 更新情報をチェックする
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