タイトル通り、高い金を出して依頼した経営コンサルに踊らされ、アドバイスに従ったばかりに結局、駄目になってしまった数々の企業を目の当たりにした経験に基づく指摘は納得せざるを得ない。
友人に経営コンサルに勤めている友人もいるし、実際に経営コンサルが入った企業に勤めている友人もいるので、飲み会であった時に聞いた話を思い出すと、本書で書かれていることが一つ一つ、実によく合致しているので強い共感を持ちながら読み進めました。
直接、コンサルが入ってなくてもそれに影響されたようなことを職場でも頻繁に言われますが・・・やれKPIだとか、見える化とか、計数管理が重要だ、多能行化とかマルチタスク、フレームワークやボトルネック、最近だと人の手作業の自動化ソフトの活用を進めろとか・・・ね。
調子に乗って、現状を見ることなく、半期単位で組織変更でやれ業務の一元化をしたから、部署間をまたがる案件が一気通貫になるので効率化できるだろ、とか机上の空論もいいところ。
どんな機械を使ってもどんなシステム化を果たしても、『人』という要素が不可欠である以上、その『人』をうまく活用できなければ、それがボトルネックになるのは自明でしょうに・・・。
ヤバイ、今月から担当している業務がまさに人月をいかに削って業務を回し、効率化したかを実証しろ、的な事言われてるが、正直やってらんないってのが真実。
業務も知らない、人も知らない、そこに新人の教育担当とか無茶振りし過ぎっす。
更に新しい業務効率化ツールの導入、運用を担当させるって・・・そりゃ真面目にやったら、ニュースになっているアレみたいになってしまうでしょう。
そんな実際に追い込まれている当人である私が読んでいると、本当に強く頷くしかないって感じの本でした。
どっかの経営陣や上司様にも読んで頂きたい感じ。
代金送料こちら持ちで本を送ってあげたいぐらいです。
普通に仕事をしていて、管理に携わる人なら誰でも面白いと思う。
ただ、それでじゃあ、なんか役に立つかというと話は別。
ストレス発散の為に共感するには良いが、本書を読んで現実が好転する訳もなく、何か役に立つことがあるとは思えません。失敗すると分かっていても、論理的に破綻していることであっても、会社の命令(上司の指示)には従わねばなりませんし、従わないなら、それは会社からスポイルされざるを得ないのも事実。
出来ることはせいぜい失敗の傷口を可能な限り広げないようにするぐらいかなあ~。
別にコンサルを利用したっていいんでしょうが、あくまでもそれは参考であり、自分達でそれを理解し、判断し、実際に行ってPDCAサイクルを回していけるぐらい血肉と化さない限り、意味はないんでしょうね。
業務提携とか、金出して技術やノウハウを購入してもそれを内製化するなど、自社自身のものとしない限り、よそからの借り物でビジネス戦っているほど、甘いものではないと思うんですけどね。
次から次へとアウトソーシングするのもどうかと思うし、急に人だけ増やしても時間をかけて生み出して定着させない限りは、自社の強みとなるノウハウや競争優位なんて生み出せないんじゃないかなあ~。
まあ、詮無き事でしょうか。
来週また定例MTGで移管スケジュール(引継ぎスケジュール)を作って発表しないと・・・。ほんと、嫌ですねぇ~。
そうそう、著者はデトロイトやジェミニといったコンサル会社で働いていたそうです。
うちのサークルの先輩がジェミニの日本法人に行ったと思ったけど、元気でやっているんだろうか?
【目次】申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。(amazonリンク)
Introduction 大手ファームは無意味なことばかりさせている
第1章 「戦略計画」は何の役にも立たない : 「画期的な戦略」でガタガタになる
第2章 「最適化プロセス」は机上の空論 : データより「ふせん」のほうが役に立つ
第3章 「数値目標」が組織を振り回す : コストも売上もただの「数え方」の問題
第4章 「業績管理システム」で士気はガタ落ち : 終わりのない書類作成は何のため?
第5章 「マネジメントモデル」なんていらない : マニュアルを捨てればマネージャーになれる
第6章 「人材開発プログラム」には絶対に参加するな : こうして会社はコンサルにつぶされる
第7章 「リーダーシップ開発」で食べている人たち : リーダーシップを持てる「チェックリスト」なんてない
第8章 「ベストプラクティス」は“奇跡"のダイエット食品 : 「コンサル頼み」から抜け出す方法