2007年06月11日

「半身」サラ ウォーターズ 東京創元社

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表紙を飾るカルロ・クリヴェッリの絵が気になっていて、ついつい購入してしまったのですが・・・、やっぱり完全なる駄作でしょう。読み始めるや否や、なんかこれつまらなそう・・・でも、万が一ということもあるし・・・。

いやいやながら読了して断言できることは、最初から最後まで箸にも棒にもかからない小説だったなあ~という感想です。

基本的なストーリーは、英国心霊主義が流行していた時代を舞台に、いかにもありがちな交霊会やそこで活躍して貴族などを食い物にしていた自称・霊能力者が出てきます。真相は不明ながらも、降霊の際に貴族の女性が死んだ責任を問われ、監獄に入れられている女囚人と、精神を病んだ救いようのないわがままな主人公が監獄の慰問という形で接触することで特別な関係が生まれ、とある事件へと繋がっていきます。

本書は、慰問に訪れた女性(主人公)の日記という形で語られるのですが、私的にみると自己主張はするものの、大人としての分別や社会性に著しく欠けた問題児で、異常に感受性だけが発達した、ありがちなタイプの人物像に相当な嫌悪感を覚えました。巷によくいるタイプです。

その主人公が最初から最後まで、自己欺瞞と自己嫌悪を勝手に繰り返しながら、身内や周囲に迷惑をかけ続け、最後の最後まで自分の正当性を信じるあたりが救いようがなくて、周囲の方が可哀想でなりません。率直にいうと、主人公の最初の試みが成功していれば、一時の迷惑だけで周囲の人に更なる迷惑をかけなくて済んだのに・・・と意地悪いことを考えずにいられませんでした。

それっくらい、主人公のこと私は嫌い! と、同時にわざわざ心霊主義が蔓延していた英国のこの時代を選んで、こんなどうしょうもない小説を書く作者にも、かなりの反感を覚えずにいられませんでした。こんなどうしょうもない小説を書くなら、著者には同時代を扱ったブラック・ウッドの爪の垢でも飲んで欲しい!! ひど過ぎです(号泣)。

英国には、もっと&もっと素晴らしい怪奇小説の伝統があるのですから、これを読むなら、絶対に別な作者のものをお薦めします。私的に絶対に受け入れられない小説でした。だって、最後のオチはギャグですか?! 三流小説にありそうでまさかと思いつつ、最悪の事態を想定していたら、そのまんまジャン。文体から何から全てにおいて、私のタイプではありませんでした。

最後に一言、クリヴェッリを冒瀆しちゃいけません。

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ラベル:書評 小説
posted by alice-room at 18:35| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 海外小説A】 | 更新情報をチェックする
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