2007年06月13日

「魔障ヶ岳」諸星大二郎 講談社

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民俗学者であり、別名「妖怪ハンター」と呼ばれる稗田礼二郎が体験する、不思議な事件を巡る物語。このシリーズの初期のものは映画にもなったし、今ではかなり有名な諸星大二郎氏による作品です。

なんといってもこのシリーズの魅力は、民俗学や歴史の基本的な知識を下敷きにして想像力を膨らませ、現代にも通じるような、不可思議な現象をあえて解明せずに謎のままで読者のもとへ提供するのが素晴らしい。

私が京都や奈良の寺社仏閣を巡ったり、歴史関係の書籍を読むのもまさにそれと同じ関心であり、歴史が生きていることを感じられるからでもある。本書のようなコミックを読んでから、記紀(古事記・日本書紀)を読んだり、歴史の本を読んだりしてから、奈良や京都へ行くと実に楽しい♪ 知ることは、まさに喜び以外の何物でもないことを痛感しますよ~。

さて、今回のストーリーは「天狗の宝器」と呼ばれる祭具がきっかけになります。今は忘れ去られた修験道の祭祀跡にあったと思われるその祭具を手がかりに、隠された場所へと主人公である稗田礼二郎が誘われます。そして、そこで見つけたモノとは・・・? 

また、そのモノの影響により、様々な現象や事件が起こります。

いつもだと、どちらかというと脇役に徹して最後の解説や謎解きに出てくる稗田礼二郎が今回は、前面に出てくるのは珍しいですね。そしてビックリしたのですが、これって雑誌「メフィスト」に連載されてたようです。そう、西尾維新氏がかかれているあの雑誌。かなり意外な感じがするのですが・・・実は一度もその雑誌見たことないので今度探してみよっと。

今回の舞台として出てくる奈良の三輪山は、私もあの辺りをあちこち歩き回ったことがあるのでいつも以上に興味深かったです。崇神天皇のこととかも出てましたね。いやあ~、実に楽しい♪

歴史や民俗学のお好きな方なら、絶対に楽しいと思います。また、奈良の桜井あたりに宿とって1、2週間くらい散策しまくりたいなあ~。

魔障ヶ岳ー妖怪ハンター(amazonリンク)

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posted by alice-room at 00:46| 埼玉 ☀| Comment(2) | TrackBack(1) | 【漫画 アニメ】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
alice-roomさん、こんばんは
妖怪ハンターシリーズは、傑作ですね!今回も、とても面白かったです。僕などは、「妖怪ハンター」というタイトルに、まったく抵抗はありませんが、作者は気に入らないというのは面白いと思います。
「メフィスト」で連載されていたとは知りませんでした。面白い偶然ですね。
ほんの少しですが、関係があるので、過去記事をTBさせていただきました。よろしくお願いいたします。
Posted by lapis at 2007年06月13日 22:44
はい、私もこのシリーズ大好きです! 作者さんあまり好きでないんですか、このタイトル。ちょっとベタなのがおきに召さないのかな?
諸星氏の作品は、昔から好きなので結構持っていますが、いやあ~ゾクゾクするような不思議な感覚がたまりません。これからも楽しみですね。
TBどうも有り難うございます。
Posted by alice-room at 2007年06月14日 21:58
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Tracked: 2007-06-13 22:30