「偏愛蔵書室 」諏訪 哲史 国書刊行会

henaizoushositsu.jpg

本書を読んでいて感じたのは偏愛というより、随分と偏った一昔前の選書だなあ~ということ。
また、本書の文体が無意味に硬くて、それでいて大して意味が無いこと。

よくもまあ、こんな偏った内容の本ばかり集めて、しかも説明がさらに歪んでいて、書き下ろしかと思ったら、なんと新聞に連載されてたそうです。結構、期間も続いているし、地方の新聞、恐るべしですね。

依頼する方もする方だけど、新聞の購読者がこの内容を拒否らないんだ、すっげぇ~というのが率直な感想。

しかもしかも、私が興味ないんで知らないんですけれど著者は芥川賞を受賞された方だそうで、あの「種村季弘」氏のお弟子さんにあたるとか。よくよく見ると出版社も国書だし、その繋がりでかなあ~と思う。

でもね、種村さんから何を学ばれたのかな~とも思う。
全然違うじゃん!勿論、違ってもいいのだけれど、というか違うのが普通なのだけれど、種村さん関係ないような気がしてなりません。まして、澁澤さんも関係ないでしょう。

その割に結構、時代的なものが自分自身と被るなあ~と思ったら、まさに同年代だったりする。

でも、だからこそ、著者の文体(スタイル)には拒絶反応が出てしまう。

幾つか読んでいて、拒否反応と説明に対する越え難い違和感で、結局飛ばし読みした。
もしかしたら、面白い本が少しくらいあるかと思って・・・。

でも、本書を読んで読みたいと感じた本は無かった。
私的には本書は不要な本でした。
【目次】
1 不治の言語病患者 「チャンドス卿の手紙」 ホフマンスタール 2 倦厭の闇、一瞬の光源 『檸檬』 梶井基次郎 3 世界を造形するまなざし 『リルケ詩集』 リルケ 4 「リアル」ということ 『遠野物語』 柳田国男 5 漫画のなかの「詩性」 『赤色エレジー』 林静一 6 「無限」に触れる筆力 『伝奇集』 ボルヘス 7 「起承転転」の小説 「子之吉の舌」ほか 島尾敏雄 8 「幼年」という名の庭 『トムは真夜中の庭で』 ピアス 9 選ばれた「文体」と「生」 「青炎抄」ほか 内田百間 10 小説──「過剰性」の言語 『泥棒日記』 ジュネ

11 いかに詩を「観る」か 『静物』 吉岡実 12 「少女」の発明 『少女コレクション序説』 澁澤龍彦 13 「無実の日常」を生きる 『愛について語るときに我々の語ること』 カーヴァー 14 いざ、「枝路」の方へ 「蔵の中」 宇野浩二 15 詩の言葉で小説を 『肉桂色の店』 シュルツ 16 漢詩──視と聴の悦楽 『李賀詩選』 李賀 17 「独身者」の愛の機械 『モレルの発明』 ビオイ=カサーレス 18 「人外」──反地上の夢 『幻想博物館』 中井英夫 19 「幼稚さ」への意志 『バカカイ』 ゴンブローヴィチ 20 存在の「外」を覗く 『闇のなかの黒い馬』 埴谷雄高

21 小説とは、「反」小説である 『幻想都市のトポロジー』 ロブ=グリエ 22 変節する複数の「僕」 『数』 ソレルス 23 「低級感覚」の復権 『ナージャとミエーレ』 山口椿 24 異界としての「家」 『赤い蛇』 日野日出志 25 架空の時・架空の自己 『失われた時を求めて』 プルースト 26 「食材」「調理」「吟味」 「春は馬車に乗って」ほか 横光利一 27 他者──意想の「外」の住人 『優雅な獲物』 ボウルズ 28 言葉の前に立ち尽くす 『ambarvalia』 西脇順三郎 29 芸術──個の魂のための倫理 『短かい金曜日』 シンガー 30 変態と震災 「瘋癲老人日記」 谷崎潤一郎

31 「私」という独居房 『私生児』 ルデュック 32 己を殺めることの悦楽 「憂国」ほか 三島由紀夫 33 むっちゃくちゃ文学事件 『メルラーナ街の怖るべき混乱』 ガッダ 34 内なる「外国語」との邂逅 『運命』 幸田露伴 35 小説──「かたり」の芸術 「納屋は燃える」ほか フォークナー 36 「贋」の思想 『怪物の解剖学』 種村季弘 37 読者を「再訪」させる力 『ブライヅヘッドふたたび』 ウォー 38 呪詛する機械 『怪談 人間時計』 徳南晴一郎 39 文体の実験工房 「ファイター」ほか ヘミングウェイ 40 明るい不気味な日常 『みちのくの人形たち』 深沢七郎

41 未開の物語・未開の思考 『エレンディラ』 ガルシア=マルケス 42 「物語化」にあらがう 『ポロポロ』 田中小実昌 43 大地の突端・文体の突端 『岬』 中上健次 44 「終わり」を終わらせる 『マーフィー』 ベケット 45 究極の家畜──「日本人」 『家畜人ヤプー』 沼正三 46 孤独の小説機械 『ロクス・ソルス』 ルーセル 47 恐山少年地獄博覧会 『地獄篇』 寺山修司 48 美しく、無遠慮な眼球 『薔薇色ノ怪物』 丸尾末広 49 母と子の静かな崩壊 「かくれんぼ」ほか ソログープ 50 遠い浮世のキネオラマ 『風船紛失記』 正岡蓉

51 怠惰の果ての猫 『猫城記』 老舎 52 うつくしい「不可解」 『ユーゲント』 ケッペン 53 天使たちの「遠い言語」 『路傍の神』 鷲巣繁男 54 無垢──善悪なき獣 『薔薇日記』 デュヴェール 55 混血の言語・流浪の文体 「眼中星」ほか 大泉黒石 56 この路地、通るべからず 『幽霊の書』 レイ 57 神経症と大正デカダンス 『怪異草紙』 畑耕一 58 「完全なる敗戦」を夢みて 『パルチザン伝説』 桐山襲 59 ソ連で「個人」を生きる 『星の切符』 アクショーノフ 60 物質と記憶、そして「詩」 「鰓裂」 石上玄一郎

61 「生きていない生」を選ぶ 『眠る男』 ペレック 62 「人でなし」と人間 「鶏の脚」ほか 池田得太郎 63 読者を愚弄する 『プロタゴニスタ奇想譚』 マレルバ 64 溺死者の息継ぎ 『触手』 小田仁二郎 65 「外」を閉じ込める 『内部』 シクスス 66 様式美としての「少年」 『美童』 山崎俊夫 67 「外国語」の密造 『夜ひらく・夜とざす』 モオラン 68 各人による各人の統治 『アナキスト詩集』 萩原恭次郎 ほか 69 戦争──無秩序の繁栄 『五十万人の兵士の墓』 ギュイヨタ 70 植物姦──不可能なる愛 『妖花譚』 荒木良一

71 ふたたび「物」のそばへ 『物の味方』 ポンジュ 72 オナニズムと文学 『葬儀のあとの寝室』 秋山正美 73 いつか、舶来の街へ 『ふたりだけのSeason』 わたせせいぞう 74 触覚の天国・視覚の地獄 「人間椅子」 江戸川乱歩 75 読者処刑機械 「流刑地にて」ほか カフカ 76 宗教絵本の「遠さ」 『石童丸』 (仏説「苅萱」) 77 狂気と破滅の讃歌 『モナ・リーザ泥棒』 ハイム 78 夏が来たら、死のう 『晩年』 太宰治 79 「奴隷」を生きる 『O嬢の物語』 レアージュ 80 色と音との発狂 「龍潭譚」ほか 泉鏡花

81 人肉たちの夢 『ミッドナイト・ミートトレイン』 バーカー 82 銀河を旅するための言葉 『春と修羅』 宮沢賢治 83 悪の勝利、文学の勝利 『ジュリエット物語あるいは悪徳の栄え』 サド 84 小説──筆先の「分裂」 『普賢』 石川淳 85 不在の神への薔薇 「フーエディブルー」ほか ツェラン 86 古典美=死体美 『眠れる美女』 川端康成 87 通約不可能な生 「一九〇〇年頃のベルリンの幼年時代」ほか ベンヤミン 88 冬籠り文字の獄舎に季語の檻 『現代の俳句』 高浜虚子・永田耕衣ほか 89 律を出ても一人 『尾崎放哉全句集』 尾崎放哉 90 悪魔に捧げる花々 『悪の華』 ボードレール

91 小説、その美しい「狂い」 『草枕』 夏目漱石 92 「生」に意味はない 『嘔吐』 サルトル 93 気のふれた天使の言語 「川」ほか 岡本かの子 94 読者ども、俺の尻を舐めろ 『ユリシーズ』 ジョイス 95 読者を作者に仕立て上げる 『ドグラ・マグラ』 夢野久作 96 黒く塗れ 『夜の果ての旅』 セリーヌ 97 少年の無言の世界 『生家へ』 色川武大 98 その名はCTHULHU 「クトゥルフの呼び声」 ラヴクラフト 99 スタイル、そして逸脱 『昆虫図』 久生十蘭 100 芸術──純真なる倒錯 『ロリータ』 ナボコフ あとがき──わが「言語芸術論」のために
偏愛蔵書室(amazonリンク)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/446695194
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック