2005年06月20日

「カルタゴの興亡」アズディンヌ ベシャウシュ 創元社

カルタゴに行く前に予習をする為に読んだ本です。いささか散文的過ぎて、読んでてとっても面白かった!というタイプの本ではないですが、知っておいて損の無い情報や知識が入っています。あと、図版が多い。絵画やモザイク画の写真もそれなりに入っており、現地に行ってモザイク画の美術館を見まくるぞ~という気持ちにさせてくれます。

それ以外だと…、普通のカルタゴの話かな?幼児の焼けた骨が多数出土し、幼児を犠牲に捧げた残酷な宗教儀式が行われていた。という話については、事実として骨は発見されているが、その生贄の話は想像の世界に過ぎず、事実とは考えられないと慎重な発言をされています。他の本でもよく出てくるテーマですが、これは今後の研究に期待するしかないですね。ローマに支配される以前の話も現在分かる範囲で触れられていますし、きちんとして歴史を知るには、目を通しておいて悪くないかも?という感じです。

カルタゴがそもそも植民地とされていったエリッサ伝説もなかなか面白いですしね。伝説によると・・・
昔、美しいフェニキア人の王女様(名をエリッサといいます)がいました。父はテュロス王でしたが、ある日、王位を狙う兄のピグマリオンに夫を暗殺され、エリッサ自身の命も狙われる身となりました。エリッサは財宝を船に積み、従者とともに海に逃れました。船は一路西を目指します。キプロスに寄航した折には、アシュタルテに仕える高位の神官を一行に迎え入れ、いずれどこかの土地に落ち着いて子孫を増やす考えから、沿岸の若い娘80人をさらって航海を続けました。やげてチュニス湾にたどり着き、そこに上陸して町を作り始めたのがカルタゴの始まりとされています。

あと、完全に忘れていたのですが、聖アウグスティヌスがまさにここカルタゴ出身で、当時はこの地自体がかなり学術的に進んだ地域であり、キリスト教にとってもある意味で相当重要であったそうです。中世には、当然であったキリスト教のラテン語使用ですが、それもこのカルタゴが最初であったそうです。知らなかったなあ~。ちょっと賢くなったかな(笑顔)。

この本を読んでますます行くのが楽しみになりました。私も瞑想にふけって、素晴らしい思索ができるでしょうか…煩悩の塊には無理なような気もしますが…。まあ、少しは刺激を受けられるでしょう(ニコニコ)。

カルタゴの興亡―甦る地中海国家(amazonリンク)
posted by alice-room at 21:17| 埼玉 ☀| Comment(5) | TrackBack(0) | 【書評 歴史A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。不真面目な信者です。
アウグスティヌスはカルタゴの出身だったのですね。自分のブログで紹介していながら、わかりませんでした。私も賢くなれました。受洗前に彼の母親「モニカ」を霊名(洗礼名)に薦められたいきさつがありました。私には親しみのある聖人です。
Posted by jyakuzuregawa at 2005年06月20日 22:47
はじめまして。不真面目な信者です。
アウグスティヌスはカルタゴの出身だったのですね。自分のブログで紹介していながら、わかりませんでした。私も賢くなれました。受洗前に彼の母親「モニカ」を霊名(洗礼名)に薦められたいきさつがありました。私には親しみのある聖人です。
Posted by jyakuzuregawa at 2005年06月20日 22:49
jyakuzuregawaさん、こんばんは&初めまして。私はキリスト教に興味はあるんですが信者ではないので不適切な表現もあるかもしれません。大目にみてもらえれば嬉しいです。話としてはカルタゴ出身と聞いたことはあったのですが、全然その意味を理解していませんでした。カルタゴという土地は、アフリカにおけるローマであり、先進的な学術地域だったそうです。本当に興味深いです。jyakuzuregawaさんのように、もっと身近に感じられたら素敵ですね。私の場合は、本ばかりでもっと大切な実質が欠けている気がいつもしていてちょっと残念だったりします。コメント有り難うございました。
Posted by alice-room at 2005年06月21日 00:41
カルタゴでは、記述にあるような幼児の墓(と思われるもの)が並ぶトフェの遺跡が好きですね。あと、トフェの裏から続くカルタゴの港跡。
最初に丘の上にある博物館に寄れば、そこに往時のカルタゴ再現画像があるので、それと現在の地形を照らし合わせつつ散策することができてグーです。

フェニキア繋がりでいつかレバノンにも行って欲しいなぁ、なんて勝手なことまで申す始末(笑)
Posted by マユ at 2005年06月21日 03:48
マユさん、情報有り難うございます。博物館で昔の土地の利用状況を頭に入れて散策楽しみたいです。レバノンですか~、いろんな遺跡がありそうですね。たぶん、すぐには無理でしょうが、そちら方面にも是非行ってみたいです。問題はお金かな?やはり?
Posted by alice-room at 2005年06月21日 15:35
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