2017年06月21日

「昭和酒場を歩く」藤木 TDC 自由国民社

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昨今ブームの『昭和』の古典酒場、懐かし横丁等を採り上げた懐古趣味的おじさん語り。

狙いは悪くないし、取り上げられている場所も何ヵ所かは私自身も知っているし、訪れてもいるので書かれている文章も分かるのだけれど・・・年寄りが飲み屋でくどくどと昔を懐かしんで繰り言を言っているレベルの内容で正直お粗末過ぎる。

雑誌に連載していたものをまとめて再利用しているらしいのですが、ちょっとねぇ~。
別にグルメ本ではないので料理や酒を詳しく説明しろとは言いませんが、ただ、古い(ぼろい?)飲み屋で時代についていく努力も無しに昔と同じメニューを出していれば、それでヨシとするのはいかがなものでしょうか?

古くても最近のお店に負けないくらい、酒や肴に工夫を凝らし、昔と変わらぬ美味しいものを手間暇かけて提供している、とかなら素敵なんですが、本書ではただただ古ければいい、昔と変わらず、残っていて懐かしい、そればっかりで客についても年寄視点のうっとおしい昔語りばかりで若い人に突然知ったような語り掛け口調は、正直苛立たしい。

街や地域の成り立ちなんて、本書の読者は求めてないわけでもっと著者独自の視点できちんと語って欲しかったです。ただ、懐かしいとか、時代は遠くになりにけり・・・的な老人の繰り言ではなくて・・・。

せっかく素敵な酒場でもっと素敵なお店があり、素敵な話題があるはずなのに全然生かされていないのが大変&大変残念な本でした。読む価値は無い本でした。
【目次】
宿「思い出横丁」の咋日今日明日
「池袋の夜」を訪ねて―美久仁小路、人世横丁
中央沿線“酒場街”青春哀歌―吉祥寺、西荻窪、荻窪、阿佐ケ谷、高円寺、中野
小岩の酒場に永井荷風の足跡を訪ねて
大井町の夕暮れ―東小路、旧大井新地
近未来から戦前へ 品川駅港南口、旧海岸通り
横浜野毛酒場街の“戦後”を呑み歩く
深川「辰巳新道」下町酒場街にも変化あり
名店居並ぶ大塚酒場街その歴史を“呑む”
錦糸町裏通りで呑む―ダービー通り、花壇街
東京スカイツリー下の酒場街―押上、業平、曵舟界隈
移ろいの街―有楽町ガード下界隈
新橋ガード下酒場街を発掘する
新宿ゴールデン街―その“魔性”の味は?
華やかなりし昭和の残香―“グランドキャバレー”を求めて

昭和酒場を歩く―東京盛り場今昔探訪(amazonリンク)
ラベル:書評 酒場
posted by alice-room at 20:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 未分類B】 | 更新情報をチェックする
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