2007年06月19日

「図解 データベースマーケティング」奥山真一郎 日本実業出版社

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本自体は、この手のものとしてはいささか古くなりましたが、データベースマーケティングの入門書として、1)説明の容易さ・論理性 2)用語の明確な定義 3)対象範囲の広範さ 4)具体的事例の四点から今でも十分に評価できる一冊だと思います。

私自身はこの手の本は山ほど持ってるし、実際の経験もあるのですが、改めて知識の整理と客観性の確保の為に、この手の本を読み直しています。その中でも本書は、初めてデータベースマーケティングを知りたい人に強くお薦めしたい本です。ちなみに著者は、以前読んだ本「データマイニングがマーケティングを変える!」と同じく元SASの方だそうです。あちらより、こちらがベター。

その理由は、本書では基本的方法論(客観性を可能な限り担保する科学的手法)をしっかり押さえたうえで、実際の業務でそれを応用する際に生じる限界や問題点を明確に意識し、それを率直に認めているから。

当たり前のようだが、それが実務では一番困難だと思う。えてしてもっともらしい数字や論理が一人歩きしがちであり、売上に役立たないマーケティングなど愚の骨頂に他ならない。しかし、この手の本(マーケティング全般の本)はおうおうにして、綺麗事ばかりで現実の問題点を無視する、あるいは見て見ぬふりをしがちだ。

本書では、データベースマーケティングの観点からそうあって欲しいデータベースの理想像を提示する一方で、実際には購買履歴以外だと氏名や住所、せいぜいが性別ぐらいしかないデータベースでどうやって少しでも理想に近づけていくか、その為の視点を忘れない。おそらくこれが実際には、一番大切になってくるし、同時にテンポラリーな一回限りの作業ではなく、データベースマーケティングを絶えず継続しながら、その精度を高めていく継続性の重要性も指摘している。まさに私も強く同感する!

本書はあくまでも基本書ではあるが、この本に書かれている本質的な点を理解するならば、後は各人の努力次第でいくらでもデータベースマーケティングの成果と可能性は広がっていくだろう。

自分の知り合いで、データベースマーケティングに関係する同僚や部下なら、これを薦めておけば間違いないだろう。研修用にも使える本です。
【目次】
第1章 データベースマーケティングとは何か
第2章 データベースマーケティングの目的
第3章 データベースマーケティング戦略
第4章 データベースマーケティングを支える情報技術
第5章 データマイニングによる情報抽出
第6章 データベースマーケティングの実践手順
第7章 事例解説 データベースマーケティングの実際
第8章 これからのデータベースマーケティング
図解 データベースマーケティング―顧客志向マーケティングの実践ノウハウ(amazonリンク)

関連ブログ
「データマイニングがマーケティングを変える!」SASインスティチュートジャパン PHP研究所
posted by alice-room at 20:17| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスA】 | 更新情報をチェックする
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