なんかいいね、世界最古の修道院で古代キリスト教の写本をデジタル技術で解析し、WEBで公開することを目指しているんだって。こういう技術の使われ方って、いいよね。まさに技術革新の恩恵って感じ。ハッカーになってクレカの情報をハッキングしてリークするような社会って、うんざりするもん。
【大元はロイターらしいです。以下、転載】
○ハイテクカメラがシナイ写本の謎を解く
72メガピクセルのカメラとハイパースペクトラルイメージング技術を駆使し、修道士と学者たちは現存する世界最古の聖書をデジタルでよみがえらせようとしている。(ロイター)
世界最古の修道院が、シナイ砂漠の砦の中で何世紀も保存されていた古代キリスト教の教本に、ハイテクカメラで新たな光をあてようとしている。
聖カタリナ修道院はこの技術を使って、シナイ写本――現存する世界最古の聖書――のページなど、世界最初のキリスト教本の一部をより完全に理解できるようになると期待している。
ハイパースペクトラルイメージングと呼ばれるこの技術は、カメラを使ってさまざまな波長の光で羊皮紙の写真を撮り、時間の経過や後の重ね書きによって不明瞭になった文字を際だたせる。
この技術により、学者らはギリシャ語のシナイ写本に加えられた修正を理解できるはずだ。シナイ写本は330~350年に書かれ、ローマのコンスタンティヌス帝が編集させた50部の聖典のうちの1つと考えられている。
「それぞれの筆写者による修正をすべて見れば、その筆写者が修正にあたって則った原則が明らかになる」と修道院の司書ジャスティン神父は語る。
聖カタリナ修道院との合同プロジェクトとして、シナイ写本の大半を持つ英独露の図書館も写本のページや断片をスキャンし、デジタルでそれを復元する。
○失われた写本
聖カタリナ修道院は19世紀半ばまでシナイ写本を保存していたが、その後写本の大半はドイツの学者がロシアに持ち去り、返還されなかった。ロシアは1993年に写本のページを英国図書館に売却、同図書館は今でもこれらのページを保存している。
同院の修道僧らは1975年まで、シナイ写本は丸ごと欧州に持ち去られたと考えていたが、同年に12のページと15の断片が、数千のほかの羊皮紙や断片とともに、崩壊した天井の下に埋もれていた忘れ去られた部屋で発見された。
シナイ写本返還の望みを失っていなかった同院は、写本の近代史を含めることを条件にプロジェクトへの参加に同意した。
同院の修道僧は、ドイツの学者が残した写本の返還を約束する覚え書きのコピーを額に入れて保存している。ロシア公文書保管所にある非公開の書類により、これが聖カタリナ修道院に残された状況が解明されるかもしれない。
ロシアには、同院の修道僧がシナイ写本を売却あるいは寄贈したことを示す文書があるかもしれない。しかし、それら文書の入手が強引に行われたのではないかという疑問は依然として残っているとジャスティン神父。
「彼らの保管所にそうした書類が見つかれば、われわれはそれを受け入れなくてはならない。そうでないなら、われわれには権利がある。しかし、たとえそのような書類があったとしても、どのような方法でシナイ写本を入手したのかが問題だ」と聖カタリナ修道院のダミアノス大司教は語る。
英国とドイツにあるシナイ写本のページは保存状態が良いためそのまま写真を撮れるが、聖カタリナ修道院にあったページはそのプロセスを行えるよう復元する必要がある。
「ページの一部は発見されたときくしゃくしゃになっていたため、広げなくてはならない」と聖カタリナ修道院のプロジェクトにアドバイザーとして参加している書籍史学者のニコラス・ピックウード氏は語る。
同院は、3304冊の写本と1700本の巻物のコレクション――バチカン以外で初期のキリスト教本のコレクションとしては最大のものだ――の中のシナイ写本やその他の資料を取り扱うための保全作業所を設置する計画だ。
さらに、このコレクションを収めるための新しい図書館も建てる予定だ。このコレクションは同院から離れた場所で、乾燥した砂漠の気候の中、修道僧の手により保存されていた。「これだけのコレクションはほかにない。並ぶものはない」とピックウード氏。
○シリア写本の謎も
ハイパースペクトラルイメージングは、聖カタリナ修道院のもう1つの重要な写本――シリア写本の読解にも利用される。
この技術を使えば、5世紀の色あせた写本の、目に見える8世紀の文字の下にあるかすかな跡も読み取れるはずだ。下にあるのは、2世紀に書かれた新約聖書の翻訳だ。
19世紀に、学者らは化学物質を使ってこの写本の下に書かれている文字を一時的に見えるようにしたが、そのせいで羊皮紙が余計にもろくなってしまった。「まだこの写本のすべての内容が解明されていないのはほぼ確実だ」とピックウード氏。
波打った羊皮紙を写真に撮るには、最大「4台のカメラで異なる角度から撮影し、その画像をつなぎ合わせて、電子的に引っ張って平らにしなくてはならないかもしれない。物理的に引っ張って平らにすることはできない可能性があるからだ」という。
この技術は、2~3の石碑に刻まれたものしか残っていない言語のかすかな手書きの筆跡を読むのにも応用できるかもしれない。8~9世紀のグルジア後の写本のページにそうした跡が見られる。
テキサス出身のジャスティン神父は、最大72メガピクセルの解像度で撮影できるカメラを使って、聖カタリナ修道院の比較的保存状態の良い写本の一部をデジタル化する作業を開始している。
「わたしがシナイに来たとき、砂漠で暮らすことになった。コンピュータを使って写真を撮って、年に4回ロンドンに行くことになるとは思わなかった」(ジャスティン神父)
聖カタリナ修道院は、2006年半ばまでに100の写本を撮影して、Webサイトからアクセスできるようにすることを目指している。「3000のうちわずか100でも、重要な学術リソースになるだろう」と同氏。
書籍史学者は現在、写本の状態とそのバインディングの物理的な特徴を目録化しているところだ。これらのうち50%が原本だという。
「写本がどこにあったのか、どこから来たのかを示す証拠はバインディングの方法にあることが多い」(ピックウード氏)
修復士は写本から払ったちりまで保存している。その中に含まれる花粉や種が、ペルシャ語、アムハラ語、ヘブライ語で書かれた教本が、どのようにしてシナイ砂漠の真ん中にたどり着いたのかを示す証拠になるかもしれないからだ。
この記事、密着型でそそられますね。
セントカテリーナ修道院とシナイ山は、実際訪れているので思いいれもひとしお。
それに、ペルシア語(パルティア方面)に中央?のヘブライ語、加えてアムハラ語ってエチオピアの方面でしょう。シバの女王伝説ふたたび?
マユさんは実際に行かれてるんですね、それでは感慨ひとしおですね。どうもあの地域は、頭の中に地理的なイメージがなくて、場所がイマイチ分かってなかったりします。地図見ても、実感がないので定着しなくて…。そうなんですか、エチオパピアの方面ですか。うわあ~、いろんな事柄がまたまた絡んできそうで楽しみ♪ シバの女王とソロモン王の子孫が王族の血統というエチオピア。興味津々になります(笑顔)。