2005年06月25日

「ルーヴル美術館の楽しみ方」赤瀬川原平 新潮社

rubul.jpgこれは一方変わった美術館案内と言えるのではないでしょうか。10日間も通ったというので、熱狂と感動に浮かれたものとは違う、いささか距離を置いた楽しみ方としては良いかもしれない。

私も俗っぽさは嫌いではないし、センスのあるものにはむしろ拍手喝采してしまう俗物でもあるが、ルーブルを西洋の肉料理に例えるのには、どうでしょう?いささか、ステレオタイプで日本との違いを強調するのにはかなりの違和感を覚える。だって、江戸時代の無残絵はどうなんだ、と言いたい。私の部屋に転がっている図録や画集には、芳年のものや絵金のものがゴロゴロしているので(それが特殊なのだけど)、やっぱり納得いかない。

でも、それ以外のところではちょっと脱力系ながら、著者の感性を主体にして絵を紹介しているのはイイ。一般的な説明もいいけど、それだけではつまらない。やっぱり実際に見て感じたその人の感情・感動を知りたいもの。人が人を動かすのは、説明や説得ではなく、情熱だと思うし。表面的に出なくても、その人の秘めた情熱、そういったものを知りたいですね。小説でも絵画でも建築でも。解説であっても、そういった要素があると嬉しい。本書にはその片鱗があるかも。但し、片鱗であり、後はそれぞれの人の感性に合うかどうか?私はそれほど合わなかったけどね。

ルーヴル美術館の楽しみ方(amazonリンク)
posted by alice-room at 00:46| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 美術】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック