2007年07月16日

「フィレンツェ・美の謎空間」宮下孝晴 日本放送出版協会

1999年4月~6月にかけてNHKの人間講座として放映された番組のテキストです。何気に結構、昔って感じがしますが、当時リアルタイムにTV見ていた時に購入したものですが、先日部屋を掃除していて出てきたので読み直してみました。

一言で感想をいうと、頁数に比して実に内容があるテキストです。タイトルにフィレンツェという単語の入る本は、それこそ有象無象としてありますが、上っ面な観光ガイドレベルを乗り越えてもう少しだけ深く知りたいと思うと、なかなか適当な本が見つかりません。

その点で本書は、可能な限り分かり易くしながらも、作品をより深く理解する為に必要な芸術家自体に関する知識や製作技法などをきちんと教えてくれます。それと同時に、非常にバランスのとれた視点で極端な方向へ傾くのを抑制しつつ、解説してくれているので大変有り難いです。

いやあ~、何度か読み直しているはずなのに、今回読んでみた改めてそうなのかあ~と頷かされることも多く、やっぱり私の読みというか理解力は浅かったんだなあ~と気付かされるばかりです。さすがにTV番組のテキストということでもう無いのかもしれませんが、古書店かどっかで見かけたら手に取るだけの価値はきっとありますよ~。

紙がだいぶボロボロになってきてるので、今度スキャナーでとってPDFにでもしようかな?と考えている私です。面倒なんだよなあ~、う~む。

そうそう、この番組の反響がいかに凄かったかについて。
この書評を書くべく今、ネットを検索してたら、以下のサイトがありました。
フィレンツェ サンタ・クローチェ教会 壁画修復プロジェクト

この番組の講師であった宮下氏の下に、番組を見ていた方から2億円の寄付があり、壁画修復プロジェクトが生まれたそうです。いやあ~、日本にも篤志家がいるんですねぇ~。どこぞの保険会社みたいに、何の意味も無くゴッホの絵を買い、それを有料で日本で公開してどんな意味があるのだろう???(買ったうえで、フランスに寄付するくらいなら、立派ですが・・・) な~んて、ところばかりではないんですね。

小市民な私としては、大変嬉しいお話です。こういうのニュースでもっと流せばいいのに・・・。

まあ、とにかくそれだけ人に感銘を与えた番組だったのでしょう。もう一度再放送して欲しいなあ~と、ふと思ったりました。

そうそう、これ以外にも驚いたことが書かれていました。ちょっと前のニュースでレオナルド・ダビンチの未完の絵というのがあったのですが、要は「イタリア・フィレンツェの宮殿会議室に描かれたルネサンス時代の画家バサーリのフレスコ画の裏側に空洞があり、そこにレオナルドの絵があった」そうです。

そして、この件はずいぶん昔から話があったようで、実はこのテキスト内にも触れられています。当時は、まだ絵そのものが見つかってなかったはずですが、いやあ~まさか本当にあるとは思っていなかったのではないでしょうか? 日々、新しい事が発見されていくと考えると、実に楽しくなりますね♪
【目次】
第1回 壁画の裏に生きていた男 
 イタリアで最初のフレスコ画
第2回 斜光線が解き明かす謎
 フレスコ画の完成者ジョット
第3回 ルネサンス壁画の出発点
 マゾリーノとマザッチョ
第4回 ピサの墓地炎上
 出現したシノピア
第5回 視線を操る画家
 パオロ・ウッチェロの遠近法
第6回 建築空間に生きる壁画
 画像フラ・アンジェリコ
第7回 「聖十字架物語」の演出
 ピエロ・デッラ・フランチェスカ
第8回 ロレンツォ豪華王時代の壁画
 ボッティチェリとギルランダイオ
第9回 イタリア・ルネサンスの三巨匠
 レオナルド、ミケランジェロ、ラッファエロ
第10回 新たなる壁画法の登場
 ヴァザーリのフレスコ画論
第11回 病んだ壁画の修復と保存
 最先端技術と倫理
第12回 現代に生きるフレスコ画の伝統
 アンニゴーニの世界
フィレンツェ・美の謎空間―フレスコ壁画への旅(amazonリンク)

関連ブログ
レオナルド・ダビンチの未完の絵


posted by alice-room at 21:03| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 美術】 | 更新情報をチェックする
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