2007年07月22日

「書物狩人」赤城毅 講談社

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実は、最初かなりなめて読んでいました。本書は全部で4篇の独立した短編から成り、特に最初の話は、あまりにもベタ過ぎるネタで使い古されているものをちょっと別視点で採り上げているだけであったりしたので、もう読むのやめようと思ったりしました。

私的には、「ナインズゲート」のコルソみたいな玄人向きの稀稿本ハンターをイメージしていたので、正直もったいぶっただけで、あまり知性を感じない主人公とストーリーは期待外れだったのです。

でも、残りの三篇を読むと、いわゆる本当の古書好きにはどうかと思いますが、目先の変わったエンターテイメントとしては、そこそこいけるような気がしました。何しろ、短編なのでストーリーのテンポとノリがいいんです。

そこそこの歴史的記述と最後にちょっとした意外性を持ってきて、軽~く楽しんで読める小説となっていると思います。読後感も最初の一編ほど悪くないですし、それなりに面白かったです。

ただ、小説としての嘘であっても、いかにもありえそうな信憑性を伴った説得力のある嘘にはなっていません。その意味で、架空の内容なのに妙に現実感がある、そういった小説にはなっていません。

最初から最後まで、御都合主義の娯楽小説として捉えれば、結構楽しめると思います。ただ、もう一歩踏み込んで書かれている内容を見ると、う~ん、上っ面な点は否めないでしょう。

ネタ的に知的好奇心をそそるものはありませんでした。でもね、その代わり、小説らしい大胆なネタもあり、おおっそういうことアリ?とか思う痛快さを味わえます。

真剣にならず、あくまでもかる~く読むならOKだと思います。本当に虚虚実実の古書を巡る駆け引きとかを想像するとチャラくて悲しくなりますが、それさえ期待しなければ楽しいです。(ヒトラー日記などの単語にピンとくる方は、読まない方が無難です)

あちこちの紹介にもありますが、一冊の書物が一国を、一つの世界をも滅ぼしかねない影響力を有し、それを巡る書物狩人の活躍を描く小説となります。
【目次】
教科書に準拠して
神々は争う
Nの悲喜劇
実用的な古書
書物狩人(amazonリンク)

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posted by alice-room at 22:02| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説A】 | 更新情報をチェックする
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