2007年07月31日

「聖母マリヤ」植田重雄 岩波書店

中世の聖人伝絡みの話では、結構素敵な著作の多い植田氏の作品ですが、残念ながら、本書は駄目。中身が悲しくなるぐらい無いです。

ここ最近読んだマリア関係の書物の中では一二を争う内容の無さでした(涙)。聖母マリアを地母神としてみる説は、なんの本を見ても出てきますが、ほとんど考察らしい考察もなしに、幾つかの例示的な事例を紹介するだけで終わっています。

図像的な説明に至っては、そりゃ説明になってません!というレベルです。黄金伝説絡みの聖母の話も、十分に触れていなし、そこから進んだ話もない。

あまり聞かないようなマリアに関するエピソードが時々紹介されるのが唯一の救いだが、そこから、示唆的な内容を持つ説明にまで進むこともなく、ただこんな話がありますよ~的なノリで終わってしまっている。

なんとも残念な限り。聖母マリアに関する限り、本書から学ぶべき知識はなかったです。本書よりも古くてもずっと&ずっと内容のある本「アヴェマリア」をこないだ読んだばかりですので、落胆もひとしおです。悲しい・・・。
【目次】
母神崇拝
伝承の中のマリヤ
マリヤの習俗
マリヤへの愛
図像のマリヤ
聖母マリヤ(岩波新書 黄版)(amazonリンク)

関連ブログ
「アヴェマリア」矢崎美盛 岩波書店
「聖母マリアの系譜」内藤 道雄 八坂書房
「聖母マリア」 竹下節子著 講談社選書メチエ 
「黄金伝説3」ヤコブス・デ・ウォラギネ著 人文書院
「聖母マリア伝承」 中丸 明 文藝春秋
posted by alice-room at 23:42| 埼玉 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 宗教B】 | 更新情報をチェックする
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