2007年08月04日

「真紅の呪縛」トム ホランド 早川書房

kyuuketu.jpg

正真正銘、吸血鬼が主人公の小説です。昨今のなんちゃってバンパイア物が横行する中で、ある意味古くからの正統派的な系譜に位置づけられる存在かもしれません。

怖い小説というよりも、詩人のランボーとかが出てくるディレッタント向けの小説、いや退廃文学とかそういうテイストですね。詩人バイロン卿が主役のデカダンス文学だったりして・・・。

個人的には、かなり大好物の系統。選ばれし者、特別な存在故の苦悩。露悪的な行動の反面、非常に繊細で脆いがタフな精神。既存の道徳観を超越しつつもそれに拘泥し、捨てきれないヒューマニズム。

実に&実に面白いです。吸血鬼物としては、おそらく『初』のアイデアなども盛り込み、怪しげな夢幻感が素敵ですね。やっぱ、英国人にこういうの書かせると秀逸ですね! 

アン・ライスのヴァンパイア物や菊池さんの吸血鬼ハンターDとかも良いのですが、まさに正統派的手法に則りながら、ここまで新しい吸血鬼像は一読の価値有りでしょう。

吸血鬼好きなら、押さえてべき作品かと思いました。

真紅の呪縛―ヴァンパイア奇譚(amazonリンク)

関連ブログ
「吸血鬼伝説」ジャン・アリニー 創元社
「アンダーワールド」スコット・スピードマン監督
「ドラキュリア2 鮮血の狩人」パトリック・ルシエ監督
ヴァン・ヘルシング(2004年)スティーヴン・ソマーズ監督
「ヒストリアン」Ⅰ&Ⅱエリザベス・コストヴァ 日本放送出版協会
posted by alice-room at 08:25| 埼玉 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 【書評 海外小説A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>吸血鬼好きなら、押さえるべき作品

はい、やっと押さえました(笑)

これからとりかかります!
(因みにジョン・サイレンスも同時購入です)
Posted by OZ at 2008年08月25日 18:17
どちらかでも、お気に召して頂けたら幸いです。でも、趣味に合わなかったら・・・ごめんなさいです(お辞儀)。
Posted by alice-room at 2008年08月25日 23:00
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック