2007年08月29日

「天気待ち」Wainting for the Sun in 池袋芸術劇場

天気待ち 公式サイト
舞台「天気待ち」制作ドキュメンタリー

珍しく自腹でなく、譲られたチケットで観劇に行ってきました(最近、誰もくれないんだもん)。だから、酷評はしません。自腹切っていたら、それだけ真剣味が増すのは当然でしょう!

奈良橋陽子氏の原案・台本・演出の舞台でしたが、キャスティングの世界ではとっても有名な方みたいです。私、興味がないので全然知らないのですが、会場にある花輪もいかにもその系統が色濃い業界関係者って感じで、この手の舞台ってたいがいの場合、期待できないものが多いので嫌~な予感がしてました。

結果から言うと、不幸な予感は当たってしまいました。端的に言うと、傑作「コーラスライン」の話をグダグダにして、冗長に、且つ細切れにしていろんな要素を詰め込んだものですが、感動や熱い思いは、反比例して薄っぺらにしか伝わってきませんでした。

観劇中も心が動かされる場面は一回もなく、最後の舞台挨拶も演者の独り善がり的な満足感を伝えられて、いささか困惑するばかりでした。

常識的に考えても出演者が多過ぎるうえに、出演者が多い必然性を一切感じませんでした。役者さんの語る声量は足りていても、台詞を伝えるべき言葉の明瞭さに欠けている場面が何度かありました。(声が小さいのではなく、はっきり発音されていない)

時々、ダンス系のものが混ざるのですが、どれもこれも不満足。体が動いているだけでキレが一切ないのです。トメの部分のメリハリがつかず、路上で若者が音楽を聞きながら、踊っているレベルみたいでお金を取るレベルとは思えませんでした。

演出意図もよく分かりません。オーディションの際に、最前列を使うアイデアは、格別新しいものではないですが、そのアイデアがストーリーの中では十分な意味を与えられていないようにも思えました。

では、つまらない舞台だったかというと、決してそんなことはありません。私は、観ていて箸にも棒にもかからず、大切な時間を浪費することに耐えられず、幕間で退出して帰った舞台も何度かありますが、本舞台は決してそんなことありませんでした。

というのは、たくさんの疑問を感じた舞台ですが、少なくとも最初から最後までは、論理的に一貫していてストーリーを理解することができたからです。当たり前だと思われる方もいるでしょうが、論理的に破綻して何が言いたいのかさえ、分からない自己満足的な舞台って実はかなり多いんですよ~。

本舞台に限っては、そんなことはありません。見ていてストーリーは明確に追っていけます。ただ、むしろ余計な点を省いて凝縮して濃密な見せ方の方がいいと感じたんですけどねぇ~。まあ、私の素人考えですけど。

コーラスラインの舞台は、この何百倍も楽しいし、心に残って忘れられません! しかし、この舞台は明日には記憶から消える作品でした。TV番組で観てたら、確実にチャンネル変えますし、録画だったら早送りします。途中まで見ると気になりますが、概略だけ分かればOK。そんな感じでした。

料金も高いです。私の記憶だと、この芸術劇場の小ホールを使っている場合ってたいてい4千円以下だった気がします。勿論、内容が良ければ値段はいくらでもいいんですけどね。あの山海塾が4千円ぐらいで見れるのに、この舞台に5千円以上って・・・??? 私は親と一緒だったが、親も見終わって一言、高くてもいいから「オペラ座の怪人」をまた観に連れてっと言われたのが全てを物語っているでしょう。

細かいことですが、入場時に整理番号配っても開場が押してしまって、ロビーに客を入れた時にきちんと並ばせずにぐちゃぐちゃに入れたのでは意味ないし。段取りも悪過ぎ。

全てにおいて観客優先ではなく、製作側の都合優先を感じてしまったのは悲しい。勿論、たまたまなのかもしれないが、細かい配慮が欠けているのは確かだろう。

演じる側、製作側、それぞれに伝えたい思いは、様々あるのかもしれないが、観客は感動・喜び・笑いといったものを求めてお金を出し、貴重な時間を費やす。最低限、観客の欲求を満たすのが必要だと思うのだが、今回の舞台では観客の反応がほとんどないのも特徴的だった。たまにある笑いも散発的。あの手の小さな舞台だと、反応はもっと&もっと良いものなのだが・・・。

ああっ、感動して涙を流しまくりの舞台が見たいなあ~。たまには泣いてみたい気分です。

そうそう、余談ですが、NHKの英語講座で有名な遠山顕氏が出てた。どっかで見たような~って思っていたのですが、ラジオでお声をよく聞いていた遠山氏であることに、帰宅途中のチラシを見ていて気付きました(ボケボケの私です)。

あと、hitomiが出てたけど、役者としては全くいいところがないし、このキャスティングって大いなる疑問? タレントだろうが、歌手だろうが役者として素晴らしい人がいるのは、蜷川氏の舞台など見てればよく分かるが、今回のは全然意味が違う。

舞台終了後、奈良橋氏のトークショーがあったが、この作品を観た後でこれ以上、時間を費やす気になれず、速攻で帰ったのは致し方ないだろう。しかしながら、舞台は空席がほとんどなかったが、関係者間で割り振った感じがしてならない。実際、私が譲られたのも、その関係であったのは明らかだったので。

う~、ストレス溜まりまくりなんで、とりあえず、phantomのロンドンバージョンをCDで聞きながら、感想を書いてみました。自腹では決してお薦めできない舞台です。

そういえば、先日のTVで見た浅利氏の言葉「一音を外す者は去れ」ですが、今回、台詞をミスったのが何回かあったなあ~。う~む。

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posted by alice-room at 20:46| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 【芸術】 | 更新情報をチェックする
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