2005年07月24日

「呪のデュマ倶楽部」アルトゥーロ ペレス・レベルテ 集英社

noroi.jpg映画「ナインズ・ゲート」を見て大いに気に入り、知り合いから原作はこれだよと教えてもらった本です。映画では、ジョニー・ディップが怪演をしていて妖しい雰囲気に思わず引き込まれたが、原作は映画とはかなり異なっています。別物と考えた方がいいかな? 但し、本の内容は別物というぐらい違っていますが、これはこれで私は好きですね! 面白いです。基本はやはり稀覯本マニアとそれをメシの種にするプロの稀覯本ハンター。本の為なら、何でもするという業の深い(=天国にいけそうにない)人びとのお話です。

ざっと粗筋を述べると、三銃士の生原稿を巡る調査依頼を発端に、次から次へと不可思議な事柄が起こります。やがて、悪魔を呼び出す方法を暗号にして隠したとされる希書「影の王国への九つの扉」(=ナインズ・ゲート)の真贋を調べることになります。悪魔との共著と言われ、この本を作った作者は異端審問で火焙りにされるといういわく付きの本ですが、この本は世界に3冊しかなく、いずれもそれ相当な値段がついてマニアがまさに宝物として所蔵しているのですが…。

本好きな人なら、誰でもが共感できる感覚を心憎いまでに刺激する内容です。一部の人ではありますが本が単なる「モノ」ではなく、自分を取り巻く世界であり、自分にとって切り離せない家族であり、友であり、人生の一部である。そんな悲しいまでの愛書家(否、狂書家)を描いています。そういった心理描写もいいですし、本篇に散りばめられた書誌学的知識の数々も圧倒されるほどですが、たま~に出てくる自分も知っている本の事なんかにも当たり前の前提条件的に話されるのもある意味、小気味良く、もっと&もっと本読まないといけないなあ~と痛感させられます。

あと、映画で出てくる版画ですか、しっかりとそれぞれ1頁づつ使って読者がじっくり眺めることができます。影響され易い私は、この版画をコピーして○○○○しようかと思っちゃいましたよ~(笑)。詳しくはこの本読んでくれれば、分かりますこの気持ち。ネタバレになるので後は伏せておきますが。

この本は本に関する愛情、書誌的知識等々がたくさんあればあるほど、楽しく読めます。マニアというか、オタク向きの本かも。勿論、知らなくても楽しく読めますが、三銃士については知っていた方が楽しめそうです。私は、あまり知らないのでちょうど、今映画の「三銃士」を借りてきたとこです。

羊皮紙の貴重さ、紙質へのこだわりや装丁の職人技、等々、読んでるだけで博識になれますね。もっともこの手の知識が増えれば増えるほど、後のち苦しむかもしれませんが…。人は知れが知るほど、欲しくなるものですから。他にもここでさりげなく出てくる書名の数々、うっ読みたくなるジャン!困った&困った。さりげなくフルカネリとかも出してくるのが、う~んやられました、脱帽!ってカンジですね。

ちょっと、マニアというかオタク入ってる読書家の方にお薦め。う~悪魔呼び出したい!!

呪のデュマ倶楽部(amazonリンク)

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posted by alice-room at 19:19| 埼玉 ☁| Comment(7) | TrackBack(1) | 【書評 海外小説A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ナインス ゲートみました。中々J.depp怪演でした。
原作も読んでみたいけど、私にはまだその本気違いのレベルに達していないので、到底読みこなせないかも(笑)でも私は、本の装丁のことなども興味あるし。。。。
Alice-roomさんのおかげでまた、買う本増えた。
罪ですよ。
Posted by seedsbook at 2005年07月25日 01:20
すみません、購読予定リスト増やしちゃいました(笑)。お詫びに、読み終わって置き場所の無い本を定価(!)で譲りましょうか(うっ、殴られちゃうかも)。

私も自分で自分の首を絞めながら、少し控えればいいのに…と思ってるしだいです。土曜日もよせばいいのに、神保町をうろつき、本を5冊も買っちゃいました。タイトルを観てると、ついつい読みたくなるんですよねぇ~。中には一冊150円なんて安いモノまであり、買っておかねば~って。まだ読んでない本がいっぱい積んで有るのに、もう部屋に本を置くとこがないってのに…。しかも図書館からも本借りてきちゃうし。少し病気かも? いい薬ないでしょうか?(笑顔)
Posted by alice-room at 2005年07月25日 02:20
サーフィンしてて偶然たどり着きました。
素敵なサイトですねえ。
私もナインス・ゲートをみて原作買いましたが、
(映画も非常に好みだったんですが、最後がちょっとねえだったので、原作の終わりを知りたかった)
正直映画を超える喜び、みたいなのはありませんでした。わかってなかったのかなあ。
“三銃士”も読んだといっても子供の頃ですし。
中の版画にはうっとりしました。(笑)


“薔薇の名前”も映画にほれ込んで原作を読み、
こちらは難しさに参った口でしたね。

これからもときどきお邪魔させていただこうと思います。
私も桃源社や薔薇十字社の本を買うため池袋の
パルコぱろうるまで遠征していた時期もあり、
こういうサイトをみつけて喜んだ口です。
Posted by OZ at 2006年08月28日 05:53
OZさん、こんばんは。きっと古書店で競合して似たような本を探していたりしそうですね。お手柔らかに・・・(笑顔)。

ナインズ・ゲート、あれって読書好きをそそらせるものがありますよねぇ~。余談ですが、印刷博物館に行くと、まさにあの手の本を見ることができます。国立国会図書館でもたまに公開するみたいですが・・・。機会がありましたら、是非どうぞ!

うちのブログは、独断と偏見に基づいてはいますが、可能な限り正直な感想と趣味に走った本の感想をご紹介しています。たぶんに偏見や誤解もあるかと思いますが、寛容に眺めて頂ければ幸いです。

宜しければ、これからもヨロシクお願いします。
Posted by alice-room at 2006年08月28日 22:00
レスありがとうございます。
私などは管理人さんの足元にも及びません。
ここでいろいろ勉強させていただきます。
さて、お話の印刷博物館というのはどこにあるのでしょうか?
都内なら行くことも容易ですが。
海外在なので、すぐ行動に移せないのが辛いところです。
でも、来年の夏の帰国ではこちらのサイトで読んで
改めて円朝の幽霊画展には是非参加したいです。
Posted by OZ at 2006年08月30日 06:26
OZさんは、海外にいらっしゃるんですね。私は飽きっぽいから、どこの国にも定住はできなさそう・・・。短期旅行者のまま、世界を放浪する方が向いていそうです(苦笑)。

印刷博物館ですがこちらにあります。
http://www.printing-museum.org/jp/index.html
うちのブログだとここに記事があります。
http://library666.seesaa.net/article/4169843.html

是非、帰国されるときには寄ってみて下さい。円朝の幽霊画に行かれるなら、是非落語会が主催でやられている怪談も聞きに行かれると楽しいですよ♪ 私もなかなか行けないでいるのですが・・・お薦めです。
Posted by alice-room at 2006年08月31日 00:14
ありがとうございます!
Posted by OZ at 2006年08月31日 04:03
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