
ずいぶん前にVOL.12で止まっていたので記憶を呼び起すのにしばしかかりましたが、うん佳境に入ってます。登場人物も着実に死ぬし、ここで出てくる世界観が相変わらず、救いようがない…。勿論、その反面として描かれる兄弟愛や人としての思いやり、優しさ。大人が子供を見守る古き良き価値観、そういった素晴らしいものもしっかり描かれているんですが、なんとも悪役サイドの考え方があまりに現実主義的で怖い。昔のアニメのような、おちゃらけも無くはないんですが、努力しても報われない者がいる、モノがある、世界は不完全・不平等に出来ている、な~んて事をわざわざ子供がたくさん見るアニメで言わなくても…っていう考えは私が古いのかなあ~。
このアニメ観る前にNHKスペシャルでやっていた少年兵の番組見てたから、複雑な気持ちがした。少年兵については、以前から知っていたので特に目新しいものではないが、子供は抵抗しないし、洗脳がしやすく、不平も言わずに働くというので村から子供達を誘拐することをやっていた。彼らは誘拐するだけではない、子供達の村を焼き払い、目の前で、場合によっては子供達に引き金をひかせて直接本人に親を殺させる。
子供達には、戻るところがない。生きて行く為に、ゲリラ達に教えられた通りに銃を撃つ訓練をし、政府軍や他の村を襲う手助けや実行犯になっていく。TVで出ていたのは8歳の少年兵だった。さすがにNHKでは、やっていなかったが、少女の場合は更に悲惨だ。あえて詳しくは書かないが性奴隷にされ、彼らの子供を作り、兵力を供給する。
ちょっとブルーになることばかりで恐縮ですが、そういった番組を見た後に、ある意味、殺伐としたアニメ(実際はそうでもないんですよ)を見たのですごい複雑な気持ちがした。何故ならこのアニメが子供達に人気らしい。映画の宣伝番組を深夜に見たら、最初人気があまり無かったらしいが口コミで広まり、徐々に人気及び視聴率がウナギ登りだったらしい。私は最初はつまんないと思ったクチなので、おそらく事実なのだろう。半ば以降に、相当盛り上がり始め、後半にかけてはまること受けない作品だろう。
でも、何故人気があるのだろう? あまり文化評論っぽくなるのは嫌いなのだが、このアニメで描かれる世界観が、架空とはいえ、今の子供達によりリアルに感じられるからなのではないか? 最後まで見て、ようやくそんな感じがして1人で納得した。アニメは面白いんだが、これが流行る(=支持する)現代(しかも子供達)は、正直嫌な感じがする。少なくとも奥様がたが見ている昼メロよりはもっと刺激的であり、リアルな時代感覚があるのは間違いない。
まあ、そんなのはどうでもいいか。もう止めておこう。この手の事書くと、それだけで延々と2・3時間でも話してしまうから。書いていてもキリないし。さて、本題(前置きが長~い、長過ぎる!)
番組に出てくる謎はほとんど解明される、それなりに良心的な終わり方。映画製作が決まっており、それへの引きがあるのは致しかた無い事とは言え、そんなにあこぎではないと思う。原作とはだいぶ異なっているようですが、これはこれでしっかりした世界観が構築されていて良いと思った。少なくともエヴァのように破綻したままで終わったりしなかったのは、なんとも喜ばしいことだ!!(拍手) エヴァの時は、大変だったかなあ~。いろいろとやっていたので。
粗筋はと…amazonで見てもらって(手抜き)、いわゆる本当の錬金術とは違います。あくまでも単語や用語を借用してオリジナルのものとして作り上げています。最初はそこが鼻についてイヤだったんですが、慣れると気にならなくなります。それぐらい世界観の作り方は、しっかりしています。もっともパトレイバーやゴースト・イン・ザ・シェルに描かれるような密な人間心理は描かれていませんのでそこまで期待されるとキツイですが、ちょっと違うながらも人間心理の描き方(そのベースとなる価値観)は、一貫したものがあり、シビアです。
絵柄に騙されそうになりますが、それなりに重い世界観です。面白くて好きですけどね(笑顔)。さて、映画がやっぱり見たくなった。今週、こっそり観に行こうかな? でも、お子様達が多いのは、ざわつきそうでで苦手だなあ~。困った? まあ、周りから浮いているのはあまり気にしないんですが…。
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