2005年07月30日

「フランス中世史夜話」渡邊 昌美 白水社

yawa.jpg最近、この著者の書くもので外れが無いという勝手な渡邊氏神話を作り上げつつある私です。でもでも、予想に違わず、これも面白いんだなあ〜。但し、他の作品と違って一つのテーマについて語るというのではなく、一話完結物をずらずら〜っと集めたもの。仕事が終わって夜、練る前に一話読んでから寝るとちょうどイイ感じ。実際、これ読んでるとなんか眠くって…ムニャムニャ…お休みなさい。

なんか退屈な本だと誤解されちゃうかな、決してそんなことはないです。それぞれが面白いんだけど、全体的に言ってすご〜く軽い感じ。そうですね、ウエハスとかミルフィーユの生地の部分みたいな食感(本は食べません)に近いかな? でも上品で満足感もあって、小腹も満たされてぐっすり寝てしまう…そ〜んな感じです。こんな文章じゃ読んでて伝わらないかな?

魔法の話やあの有名なクリュニー修道院の話、楽しい&楽しい黒い聖母。著者は蝋燭の炎で黒く煤けた説を結構、支持されているみたい。あっ、紋章についてのお話も興味深いです。いろいろと領土が併合していくにつれて、紋章にもそれが取り込まれていくところなんか、最近の企業合併で社名がドンドン長くなっていくのと同じ心理ですね。人間はいつでも変わりません。勿論、異端審問についてもしっかりかかれてますよ〜。私同様、皆さんもお好きでしょう(笑)。さりげなく芥川龍之介の「奉教人の死」から、『れげんだ・おうれあ』(架空の稀覯本)なんかにも触れられています。当然、「黄金伝説」との絡みも出てきます。

文章がとっても読み易いので甘くみてしまいそうですが、知らない事ばかりでちょっと教養人になった気がします(勘違いですが…)。とにかくサラリと読めてしまう本ですね。だから、余計読み心地が良くて寝ちゃうんですけど。

今までの著者の類書とは、ちょっと違って軽いです。でも、持っていて悪くないと思う。ハードカバーで当初出ていたのですが、おそらくもっと手軽にしてたくさん売ろうとの販売戦略で内容はそのままで現在、新書で売られています。場所とらないからこっちの方がいいと思って買ったんですが、正解だったかもしれません。収納も便利。

そうそう、これだけでは感想も味気ないし、読んでて特に惹かれた部分もあるので抜書きを。

〜 シャルトルの大聖堂には黒い聖母像が二つある。この大聖堂は「地の下なる聖母」だ。寺院の方では巡礼がそこに殺到するのを嫌って、地上に新たな黒い聖母像、「柱の聖母」を作り、こちらへ誘導しようとした。ところが依然として地下の像の人気が衰えないので1497年には地下祭室を閉鎖してしまった。 〜

chartre9.jpg

まさにへえ〜の世界。そんなんだあ〜、今月の頭に行ったばかりのシャルトル大聖堂の地下祭室行ってみたかったなあ。知らなかったもん、そんなの、チェッ。知ってたら、忍びこんで行ったのに…それやっちゃ怒られるって! でも&でも、なんか怪しいですね。地下にもある聖母像って。
【目次】
騎士のおそれ  建国者コナン  海底の都
大帝の墳墓  魔法を使う法王  死者の巻物
騎士気質  絵巻物 僧院  クリュニーの栄光
白い兄弟たち  院長シェジェ  十二世紀の群像
ジェヴォーダンの魔獣  パン屋の一ダース
紋章  暗夜のつどい  蛇体の妃  幽明の境
亡霊  黒い聖母  東方の博士たち 
審問の教科書  死の季節  リュブロンの惨劇
話好き


フランス中世史夜話(amazonリンク)

関連ブログ
シャルトル大聖堂 〜パリ(7月5日)〜
posted by alice−room at 03:17| 埼玉 ????| Comment(8) | TrackBack(1) | 【書評 宗教】
この記事へのコメント
地下にある聖母像って、なんだか怪しくて、わくわくします。目次を見るとなかなか面白そうなものが揃っていますね。何処かで見かけたら買いたいと思います。
そう言えば、7月24日は、芥川の命日の「河童忌」でしたね。気がついたら、終わっていてblogの記事にできませんでした。(苦笑)
Posted by lapis at 2005年07月30日 10:22
又、購入リストを延ばしてくださって、有難うございます。困りますね。
シャルトルの黒い聖母見たいですよね。バルセロナの黒い聖母は見た事があるけれど、このシャルトルのは写真で見るからに何か特別な放射をしている感じがします。
Posted by seedsbook at 2005年07月30日 22:56
lapisさん>ですよねぇ〜。「地下」「黒い」「聖母」なんて単語の羅列だけでも妖しい雰囲気で楽しくなってしまいます。
芥川の命日の「河童忌」といえば、そういうのが確かにありましたね。桜桃忌ではないですか、どっかで聞いた記憶が…。すみませんエセ芥川ファンで(苦笑)。河童もなかなか示唆に富んだ作品でしたが、「歯車」の映像は私も昔は見えたんだけどなあ〜最近はすっかり見えなくなりました(普通になったのか?)。「大道寺信輔の半生」も何故かよく分かりませんが、心に残ってすご〜く好きでしたね。もう一度、読んでみたくなりました。 lapisさん、また何かの機会がありましたら、お採り上げ下さい。勉強させて頂きます(すっかり他力本願で恐縮です)。

seedsbookさん>大丈夫ですよ、きっとその購入リストはメビウスの輪だと思います。えっ、キリがないですか?(ニヤニヤ)
バルセロナのってどこの教会でしたっけ? 行った時にみたかなあ〜? もしかしたら、デジカメで写真が埋もれているかも???
シャルトルの聖母様も是非、地下室で拝見したいもんです、本当に。勿論、この写真のものもあのゴシック聖堂の中ですから、圧倒される存在感がありました。
Posted by alice-room at 2005年07月31日 17:12
それはMonsterrat修道院の中にあります。

そのうち又シャルトルに行きたいけれど、いまの目的はベルギーのゲントにある聖画です。

黒の聖母はアチコチにあるらしい。南ドイツにもありますが、これはチト遠い。
近場ではここから1時間位のところに一つあるらしいのがわかりました。いつか調査隊員一手参ります。
Posted by seedsbook at 2005年07月31日 18:42
芥川の命日が「河童忌」で、太宰治の命日が「桜桃忌」です。太宰が死の直前に書いた「桜桃」から、その名が付いたそうです。alice-room さんが、エセ芥川ファンなら、僕は、エセ芥川ファンですらありません。(苦笑)なにせ、芥川の作品で好きなものを上げろ、と言われても「地獄変」ぐらいしか思いつきません。「大道寺信輔の半生」も読んだ記憶だけで話を覚えていません。(苦笑)
Posted by lapis at 2005年07月31日 20:38
lapisさん>すみません、私のコメントの表現がおかしかったです。「桜桃忌ではないですか、」ではなくて「桜桃忌ではないですが」の間違いでした。「か」と「が」ではたった一文字ですが意味が全然違ってしまいますね。どうも私は、書きなぐり気味でいけないですね(反省)。
しかし、さくらんぼをみると何故か「桜桃忌」を連想しますが、「河童忌」はこれまでほとんど思い出したことがありませんでした。ニュースでも扱われないですよねぇ〜。桜桃忌はたまにニュースでも見たことがあるんですが…。この差って、なんででしょうね?

seedsbookさん>Monsterrat修道院ですか、情報有り難うございます。たぶん、そこは行ったことないです。うっ、機会があるなら行っておけば良かった(残念)。
お近くに黒い聖母あるんですか〜、いいなあ。調査隊員様からの御報告を楽しみにしてま〜す。ゲントの聖画も楽しみにしてますネ。
Posted by alice-room at 2005年07月31日 21:05
こんにちは。
先ほど「フランス中世史夜話」読了しました。
こちらのサイトで黒い聖母の写真を見て、イメージふくらみました。黒って神秘的ですよね。
みなさん、実際にヨーロッパで見る機会が多いようで羨ましいです…。

渡邊さんの本はハズレなし!? 早速、今度図書館で探してみたいと思います。
Posted by ありま at 2005年09月10日 12:04
ありまさん、こんばんは。なかなか楽しいですよね、この本。黒い聖母って、本当にあちらでは多いみたいです。ブラジルでも黒い聖母があるのを見ましたが、ヨーロッパとは黒い理由が異なるようです。私も機会があれば、もっと&もっといろいろな黒い聖母を見てみたいです(笑顔)。

はい!渡邊さんの本は、今のところハズレがない感じです。聖遺物関係が、とっても面白いので是非図書館とかで探してみて下さい。TB有り難うございました。
Posted by alice-room at 2005年09月11日 20:49
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/5468130

この記事へのトラックバック

フランス中世史夜話
Excerpt: 渡邊昌美著(白水社、白水uブックス) 2003年  秋の夜長のせいかどうかわかり
Weblog: 李青堂 
Tracked: 2005-09-10 12:06