2007年09月21日

「十二世紀ルネサンス」チャールズ・H. ハスキンズ(著)、別宮貞徳(訳)、 朝倉文市 (訳)みすず書房

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伊藤氏の書かれた「十二世紀ルネサンス」を読んで大変感銘を受けまして、その本の原点たる本書を是非読もうと考えていました。

で、読んでみたんですが・・・。

う~ん、事前に伊東氏の本を読んでいたからこそ、本書で言われている『十二世紀ルネサンス』の意味が分かりますが、いきなり本書だけ読んでも本質的な部分がなかなか理解できなかったと思います。

本書では概論的な部分が少なくて、個別具体的な事例を挙げつつ、この分野ではこうだった・・・的な説明が延々とされていきます。まさに各章毎に。

逆にそういった個別の事例から演繹的に十二世紀ルネサンスの姿を浮かび上がらそうとしていると思うのですが、私のように薄っぺらな予備知識しか持たない者には、正直かなり苦痛です。

ラテン語の著名な作家の作品とか、その内容に関連した話をされても・・・内容が分からないままでは、何が何やら???

法学の復活は、学部時代の法律を学んでいたし、ローマ法の西欧における影響に関する本とか読んでいたから理解できたけど、普通の人には辛いじゃないかなあ~?

歴史の著述は、本書でもエミール・マールの本に触れていますが、その中で読んだ『鏡』とかのことなんで分かったけど、それ読んでなかったら理解できなかった。たぶん。

大学の起源も、中世の大学に関する本を読んでいたので、見当がついたけど、本書の記述だけで理解するのは至難の技かと。

全般的に、事前の予備知識を十分に持ったそれなりの人を読者に想定した本かと思います。端的に言うと、読者に求められる水準が高過ぎてめちゃくちゃキツイです。

本書全体をいっぺんに理解する事は無理でも、章で取り上げられている分野の本を読むときに、本書を絡めて読むことで両方共に理解が深まるような気がします。(じゃないと、事項の羅列とか思えなくなってしまいます。私レベルの知識では)

私と同じぐらいの一般レベルの読者諸氏には、およそ薦められない本ですね。でもね、ある程度、知っている部分だと、ああっ、このことを言っているんだなあ~となります。

決して面白いとは言えません。でも、知識があるともっと楽しめそうな予感がする本でした。ただ、個人的には、伊東氏の本をお薦めします。個別論は置いといて、十二世紀ルネサンスの意義を理解するには、あちらが絶対にお薦めです!!
【目次】第1章 歴史的背景
第2章 知的中心地
第3章 書物と書庫
第4章 ラテン語古典の復活
第5章 ラテン語
第6章 ラテン語の詩
第7章 法学の復活
第8章 歴史の著述
第9章 ギリシア語・アラビア語からの翻訳
第10章 科学の復興
第11章 哲学の復興
第12章 大学の起源
特別に重要な訳ではないのですが、ちょこっとだけメモ
12世紀と15世紀は、学問的な資料にもある程度連続性があって、古い時代の個人の写本がヴェネツィアやパリの図書館に集められ、シチリアの国王蔵書がバチカンのギリシア語蔵書中核になっているらしい。
科学の面では、十二世紀ルネサンスはかくのごとく、アラビアのルネサンスである同時に、ギリシアのルネサンスであった。
12世紀のプラトン的イデア論は、主としてシャルトル学派に代表される。
関連ブログ
「十二世紀ルネサンス」伊東俊太郎 講談社
「中世の大学」ジャック・ヴェルジェ みすず書房
NHK世界遺産~中世の輝き 永久の古都 スペイン・トレド~
「世界大百科事典」平凡社(1998年)~メモ
「ゴシックの図像学」(上)エミール マール 国書刊行会
「西洋古代・中世哲学史」クラウス リーゼンフーバー 平凡社
「アラビアの医術」前嶋 信次 中央公論社


posted by alice-room at 22:05| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 歴史A】 | 更新情報をチェックする
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