早速、読んでみたものの、正直肩すかしをくらったような感じ。それぞれの地区の細民の居住状況や生活状況などをレポートしているものの、それほど突っ込んで仔細に調査しているようでもない。
前掲の紀田氏の本で、エッセンスたる興味深い点が要約・引用されていていささか出がらし状態になっているようにも思える。逆に言えば、「東京の下層社会」を読めば事足りるし、あちらの方が他の本からまとめた詳しい記述が多くて読んでいても面白い。
あえて本書を読む価値としては、引用元に当たって確認する点と共同長屋について説明している点の二点だと思う。後者の共同長屋は、紀田氏の本で見なかったような気がする。あったとしても記述はこちらの方がはるかに詳しく、成立の歴史から説明されていたのでその点では意義がある。
もっとも社会生活史とかに格別関心のある一部の人を除いて、一般読者としてなら、本書ではなく、紀田氏の本がずっといいと思います。私、読んでて全然面白くなかったし。
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