2007年10月12日

「新ローマ教皇 わが信仰の歩み」ヨゼフ ラツィンガー 春秋社

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なんかあまり面白そうではなくて、この本は知っていたのですがずっと読まないでいました。しかし、最近ラテン語のミサの復活やバチカンのある種、昔に戻るような言動・動きなどに関心を覚え、まずは入門書として読んでみました。

教皇の自叙伝的な部分は、個人的にはあまり関心を覚えなかったし、前教皇と比べるととりたてて感動するような場面もなかったのですが、読むだけの価値がありました。

それは何かというと、本書が出た時点では気付かなったであろう典礼についてのそもそもの教皇の考え方でした。昨日、今日の思いから、先日ニュースになったラテン語ミサの件が出てきたのではなく、ずいぶんと以前から心の中で考えてきた事だったことが本書を読むと分かります。

キリスト教神学とかは、あまり知らない私が理解した(と思っているだけかも?)範囲でいうと、次のようになります。
・トリエント公会議後、新しいミサ典礼書が作られたが、それは以前のものを使用禁止にして完全に新しいものにしてしまっている。これまでのミサ典礼書は、従来のものの延長線上でったのに対し、典礼の歴史の断絶を意味する。
・人が何もかも決めていくことが、できるかのように誤解する風潮が著しいが、あくまでも全てを定めているのは『人』ではなく『神』であるという視点が失われつつある。
・神学的な解釈にしても、論理性や文献学的な正しさだけという視点ではなく、歴史的経緯の中で採用されてきた解釈・理解の意義付けを踏まえたうえで新たな神学的解釈を行っていくという姿勢を採用している。

上記から分かるように、ミサ典礼の断絶という認識を常々抱いていたことから、最近話題になっている「ラテン語によるミサ典礼の復活」に繋がっているんだと思います。

いくつかニュース見たけど、海外の記事も含めてそういった視点から、解説されていたのはほとんどなかったように思います。本書は教皇自身が書かれたものを翻訳されているので、教皇の考え方を理解するうえで大変有用だと思います。興味のある方にはお薦めします。

もっとも、『啓示』と『伝承』などの解釈や神学的な論争の話が随所に出てきます(だって教皇は神学者だもん!)。従って、神学的な用語や知識が無いと、たぶん挫折します。

私は、神学的知識はほとんどないので本書の内容をどれくらい理解できたか怪しいのですが、それでも類書をいくつか読んでいたので、まだ抵抗感は少なかったですが、普通の人が読むとパンクします。つ~か、全然分からないし、苦痛だと思いますのでご注意下さい!

ただ、文章自体は平易ですし、翻訳をされてる人がなんと、ラッツィンガーさんのドクターコースでの教え子らしい。後半の4分の1くらいは、その翻訳者による教皇の人となりの説明になります。

それを読んで、初めて理解できることもあるので全部読破しましょう!本書を読むことで、現教皇の行動原理が少し分かったような気がします。類書が少ないので(後は神学の本がほとんど?)、こういう本は良いかもしれません。
【目次】
新ローマ教皇 わが信仰の歩み
 少年時代―イン河とザルツアッハ川のあいだ
 村への配転と小学校入学―「第三帝国」の影
 トラウエンシュタインのギムナジウムでの日々
 兵役と捕虜
 フライジングの神学校で
 ミュンヒェンでの神学の勉強
 司祭叙階―司教ー博士論文
 教授職獲得の試験の劇的展開とフライジングの日々
 ボン大学教授になって
 公会議の開始とミュンスターへの移行
 ミュンスターとテュービンゲン
 レーゲンスブルクの日々
 ミュンヒェン・フライジングの司教

ラツィンガー教授から受けたこと、その想い出
 ラツィンガー教授の想い出
 キリストのからだとしての教会
 神の民としての教会
 司教の合議制と教皇
 三位一体論とペルソナの思想
 キリスト論
 聖書と伝承
 原罪について
 聖母マリアについて
 仏教について
 ラツィンガーは保守主義者か
 ベネディクトという名前と近代の諸教皇について
新ローマ教皇 わが信仰の歩み(amazonリンク)

関連ブログ
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「信仰と未来」ラッツィンガー著 あかし書房
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ラッツィンガー枢機卿。バチカン教理省の長官を務め、「教義の番犬」の異名を取る
新法王、ナチス青年組織メンバーの経歴
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posted by alice-room at 22:40| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 宗教B】 | 更新情報をチェックする
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