勿論、普段図書館を利用しない人を対象にしているのだろうが、図書館へのとっかかりレベルで終わっていてはなはだ不満が残る。エッセイ自体は気楽に読めるものの、それが図書館を有効に利用しているという線に結び付いていない。著者の自己満足で終わってしまっている感じにも取れてしまうのが残念。
個人的には、もっと&もっと図書館は使えるところだし、有効な利用法があると確信しているが、著者の使い方では、いろいろな意味でもったいと感じざるを得ない。でも、著者は翻訳家であり、仕事で図書館を十二分に活用されているはずだけに個人的には納得がいかない部分が多い。
また、ネット絡みの検索という点では、時代が古過ぎてその点では全く役に立たない。今は、海外の論文はある程度無料で読めるし、個人でもお金さえ払えば自由に読める。日本の論文等文献も同様の時代です。あわせてgooglebooksearchを使えば、著作権の切れた本の内容まで調べられるし、本書の書かれた時代的な点を差っぴいても、著者の情報リテラシーはかなり低い感じがする。
図書館でレファレンスを利用するのは、確かに悪くは無いが、個人的に利用した感触でいうと、よほど専門的な能力のある人ではないと調べ物の役に立つ資料を見つけることができないと思う。依頼して回答がくるまでに相当の時間がかかったり、自分の求めているものではなかったりする場合が多い。
大学の専門資料室の人とかなら別だが、普通のレファレンスを利用する気にはならないなあ~。個人的には、私自身が古い考えの人間だから、自ら試行錯誤して情報を集めた方が幅広く調べられるし、関連情報を含めて知識の枠が広がるので他人に頼る気にならないなあ~。真の意味で専門家が近くにいれば、当然「先達のあらまほしきもの也・・・」ではないが、教えを請いたいが、中途半端な知識では何の役に立たないと思うのだけれど・・・?
私的には、本書は使えない本でした。以前読んだ文献を探す為のノウハウが書かれた本の方がはるかに役立ちます!!
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