
怪しげな古書に囲まれた図書館。それに妖怪関係も絡む道具立てに関心を持って読み始めたが、う~ん、かなり不満足。
東西に渡る稀稿本を初めとするオカルト文献の名称がそれらしく書かれているものの、実に薄っぺらで本当に題名を並べるだけで全くストーリーにそれらの書物が生きてこない。
こんなのは虚構でもいいから、いかにリアリティーを出すかが小説家の腕の見せ所だと思うだけど、いろいろな意味でアラが見えて読むのが大変辛い。「鬼神論」がどうとかというくだりも、無理で不自然な会話の流れだし、冗談だと言っても学術的な話題として触れるにしては??? 違和感を感じる。
もったいぶったわりに、ありがちなステレオタイプ且つジュブナイル向きの妖怪話では、読者は失望を隠せない。ストーリー構成もいかがなものだろうか?
余計なことを言うと、妖怪のデータベースのサイトは私も知っているが、あれをネタにしてるのかな? それはそれとして、小説内のデータベースを作ろうとした時の考え方が完全に間違っている。いくら小説でもデータベースの話題なら、要件定義、スキーム定義とか最低限の知識を分かったうえで書かないと苦笑以外の何物でもない。中途半端なパソコン操作と同レベルの記述がイタイ。
何故、素直に稀稿本と妖怪の話だけに絞って、きちんと書かないのだろうか。その方が面白いように思えるのだけど。
私的には、古書・稀稿本絡みの観点でもつまらないし、小説としても面白くなかったです。ただ、続編を図書館で借りてあるんだよなあ~。中途半端のままだから、それ読むべきか悩んでます。
そうそう、「フーコーの振り子」(下)は途中まで読んだけど、やっぱり面白くならないので挫折した。時間は有限だからやむを得ないか。
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