稀稿本をめぐる(?)殺人が本書の中核になっていて、本好きの人なら大いに関心をそそられ、また思わず共感してしまう『書痴』的描写は面白いのだが、必要以上に無駄な暴力的サブストーリーが全体を安っぽく、安易なアメリカの読み物にしてしまっていて、実にもったいない。
また、ここで描かれる値段の高い本だが、書名を見ると個人的には苦笑してしまう水準の本が多い。確かに初版本を求める心理は、私にも分かるし、澁澤さんの本の初版を集めようとお金も無いのに買い漁っていた頃があったので他人事とも思えないが、ただ飾っておく為だけで、読みもしない本を集める人の気がしれない・・・。
無駄に帯にこだわるよりは内容にこだわれよ~とか、保存用に同じ本を2冊、3冊買うなんて馬鹿ジャン!と思いながら読んでいたのだが、ある事に気付いて愕然とした。同じ内容の本を、全集名が違うからと持っていたり、わざわざ海外から時祷書を購入して気に入ってしまい、初版は保存用にしてもう一つ通常閲覧用に同じものを購入した馬鹿な自分がいたことに気付いた!(欝だ)
すべからく本好きは変人で、狂人なのか・・・。ビブリオマニアなんて、元祖オタクだしなあ~。読めない本を集めている病気は重症だし、人の事なら笑い飛ばせるものの、チェコ語の本を買ったしまった私は何?
まあ、自己反省しつつ、今週末の神田の古書祭りを楽しみにしているんだから、しょうがない奴です。
最後に、本書の感想まとめ。
古書マニアをくすぐるノリは良いものの、肝心の古書自体はどうでも良い雑本ばかりで興味は湧かない。それと古書とはおよそ不釣合いな暴力要素が多過ぎで、単純なアメリカの小説の域を出ない。「呪のデュマ倶楽部」や「謎の蔵書票」と比べるに値しない水準。
でも、個人的には続き読むかもしれない? 人にはお薦めしない本です。
死の蔵書(amazonリンク)
関連ブログ
「古書ワンダーランド1」横田順弥 平凡社
「ある愛書狂の告白」ジョン・バクスター 晶文社
「呪のデュマ倶楽部」アルトゥーロ ペレス・レベルテ 集英社
「謎の蔵書票」ロス キング 早川書房
「書物の敵」ウィリアム ブレイズ 八坂書房
「古書店めぐりは夫婦で」ローレンス ゴールドストーン, ナンシー ゴールドストーン 早川書房
「古書街を歩く」紀田 順一郎 新潮社
「われ巷にて殺されん」紀田順一郎 双葉社
「古本屋さんの謎」岡崎 武志 同朋舎
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫
「関西赤貧古本道」山本 善行 新潮社
「本の国の王様」リチャード ブース 創元社
「世界古本探しの旅」朝日新聞社
「古本道場」角田 光代、岡崎 武志 ポプラ社
>チェコ語の本を買ったしまった私は何?
はっと、われに返る、振り返るAlice=roomさんが見えるようです。
なんだかんだ言っても、たぶんシリーズの次の本、読むと思います。
>はっと、われに返る、振り返るAlice=roomさんが見えるようです。
また、こんなことしてしまっている・・・と毎回思いつつ、同じようなことを繰り返してしまいます。悲しい習性でしょうか? お恥ずかしい限りです。でも、その割にこたえていないのが一番の問題ですね。