2007年11月08日

「考える力をつけるための「読む」技術」妹尾 堅一郎 ダイヤモンド社

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私が考えるところでは、本書は明白に実用書、ハウツー本の類いだと考える。出版社からしても、ビジネス書・経済書を出しているダイヤモンド社であり、当然だろう。

しかし、ハウツー本して見た時、本書はかなり使えない本だと思う。私の知り合いには決して薦めない本だ。何故なら、一見すると、整理された項目が並んでいるように見える目次だが、それぞれの項目が有機的に関連していないように感じてならない。また、いかにも学者らしく冗長で無駄な説明が多く、自分の主張を説明することに重点が置かれていて読者の理解し易さへの意識が足りない。

要するに、実際に読んでみると分かり難いし、くどいし、応用しずらく学者の独り善がりのハウツー本だと感じた。

少なくとも本書で書かれている内容で大切だと思うことは、うちのブログ内で全て説明したことがあるし、私的に本書から学ぶ事は一つも無かった!

とにかくあまりにも常識的な事柄が多過ぎて、無駄な本である。まさに箇条書きで事足りるレベルの内容をわざわざ分かり難い具体例を挙げて、くどくど説明している。忙しいビジネスマンは絶対に読むべきではない!

統計の話やネットからの引用・検索のノウハウなら、はるかに使える事が他の本に書かれているし、そのいくつかはうちのブログ内にもまとめてある。専門書の読み方も、私的には効率の良い方法とも思えないし、はなはだ疑問が残る。

これは一例だが、本書内で出てくるサイモン氏の「経営行動」の話。私はその直系の教え子から講義を受けたことがあるが、あれは全然使えないだろう。訳語がどうのこうのというよりも、あくまでもあの時代だから受けてノーベル賞とっただけでしかない。 わざわざあのなのを例に出す気がしれない。

むしろ、具体的な統計データの読み方をもっと突っ込んで解説して欲しかった。表面的過ぎる解説に、不相応に頁をとった解説で、値段ばかり高い本はいただけない。

著者は自らが書いている本をハウツー本と思っていないような感じがしてならない。学生は先生に逆らえないから、どんな読みにくい本でも黙って読むが、一般読者はそんな義理は無い。値段に値しない使えない本は、淘汰されてしかるべきだろう。慶応大学の情報関係の教授の本がこれでは、悲し過ぎる。期待し過ぎた私が悪いのかもしれないが・・・。
【目次】
1章 「情報」を読む―データを解読し、解釈せよ
2章 「図・表」を読む―「分かったつもり」の罠にはまるな
3章 「統計」を読む―データの向こう側にリアリティを見よ
4章 「新聞」を読む―一望で世の中の動きをつかめ
5章 「専門分野の本」を読む―仕事に役立つ「知的栄養」を吸収せよ
6章 「百科事典」を読む―定説・通説から概要を押さえよ
7章 「年表」を読む―時間軸に沿って関係づけよ
8章 「ウェッブサイト」を読む―読む前に選べ
9章 「学問と理論」を読む―体系的に理解する力をつける
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posted by alice-room at 20:05| 埼玉 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスA】 | 更新情報をチェックする
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