2007年11月22日

「奇想遺産」鈴木博之/藤森照信/隈研吾/松葉一清/山盛英司 新潮社

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世界中の変わった建築物を紹介した記事で、朝日新聞の日曜版に掲載されたのをまとめたもの。

うちは日経新聞で以前は、朝日新聞も併せてとっていたけど、だいぶ前にとるの止めたからリアルタイムでは数回しか読んでいません。何か面白いものがあるかなあ~と手にとってみましたが・・・。

結論から言うと、あまり面白いものがありません。ここ100年ぐらいの最近(私の建築についての感覚では)のものが圧倒的に多くて、数百年前に遡って時代を生きてきた建築物は一部しか採り上げられていません。

私の感想でいうと、テスト的に作られた建築物でまだまだ現在もテスト中で海のものとも山のものともならないモノかなあ~って感じです。

でも、今まで知らなかった建築物で関心を持って、もっと知りたいと思える物がありましたので読んでいて完全に無駄というわけではありませんでした。

あと気になったのは解説の文章。肝心の建築物の説明は、平易な反面、あまりにも簡略化し過ぎて内容がほとんどなく、知りたい由来などが全然足りない。それなのに、朝日新聞故か、わざわざ文化論的な(つ~か、現代社会批判的な文章)直接建物と関係のない文章が入っていることが多く、いらいらする。

同一著者によるそういった文章なら、それはエッセイ的な要素として甘受すべきかと思うが、複数著者により、それぞれの論調の方向性が微妙に異なっているその手の文章をまとめて読まされると、余計な文章を入れるな!と切に思う。

何故、素直に建築物の解説だけにしないのだろうか? はなはだ疑問だ?

それはおいといて。個人的に気になったものをメモ。

マレ=ベルニエ村の芝棟。この『芝棟』という言葉を私は本書で初めて知りました。これは、茅葺の屋根の上に植物を植えたもので植物が根を張ることで棟をしっかりさせる狙いがあるらしい。なかなか面白いですね。

しかし、この部分の説明が本書ではきちんとされていなかったりしてやっぱり解説に難有りかも?

笠森観音 千葉県長生郡長南町笠森 16世紀。天台宗の寺院で開基は784年。

投げ込み堂みたいな感じに写真では見えましたが、それとも清水寺の舞台みたいなのかな? 千葉なら遠くないし、今度行ってみようと思います。

武雄温泉 桜門・新館浴場。佐賀県武雄市武雄町武雄550、1915年 辰野金吾の設計。ご存知、日銀本店や東京駅舎の建築家ですね。竜宮城みたいなゴテゴテした温泉街の建物で、どこぞの風俗街のお店のようです(失礼!)。でも、こういうセンスってなんか好きで惹かれるんですよ~。機会があれば、行って温泉に浸かりたいな。佐賀県って行ったことないし、一度くらい行ってもいいかも。

聖ワシリー聖堂、モスクワにあるあの有名なアレ。グリム童話のお菓子の家みたいだけど、ネギボウズがあるからイスラム版みたいなの? すごい言いようですが、やっぱりモスクワに行ったら寄ってみたいところですよね。まさに中心部にある建物だし、TVでなら見たことあるけど、やっぱし楽しそう♪

ゴルのスターブ教会、木造のゴシック教会で有名なものだと思う。さすがはバイキングって感じでこれはリアルタイムの記事で見たけど、その時から気になっていました。どっかにファイリングした記事があるはず? 

本当に世界中にはたくさんの見て回りたい建築物がありますね! 読みたい本もあるし、死ぬ前にできるだけたくさん見てから死にたいですね! 読みたい本も腐るほどあるし、頑張って長生きせねば。今頃になってラテン語勉強しようと本読んでますが、ラテン語できたら楽しい本がたくさ~ん更に原書で読めるもんね! いつマスターできるか?挫折しないかが問題ですが・・・(苦笑)。
【目次】
1章 (時には風景までをも歪める)「奇景・奇観」
ル・ピュイ=アン=ブレ
ナショナル・モニュメント
シアトル中央図書館
名護市庁舎
カンピドリオ広場
カール・マルクス・ホフ
マレ=ベルニエ村の芝棟
ラ・ビレット公園
アンドレ=シトロエン公園
タ・プローム
笠森観音

2章 (都市の奇怪な象徴を意図した)「奇塔・奇門」
キューガーデンのパゴダ
プラターの大観覧車
サグラダ・ファミリア教会
戦勝記念塔
新凱旋門
ワシントン記念塔
ゲートウェー・アーチ
太陽の塔
通天閣
武雄温泉 桜門・新館浴場

3章 (不思議な形をきわめた)「奇態」
シドニーオペラハウス
ロンシャン礼拝堂
ポルト・ドーフィーヌ地下鉄駅出入口
アブラクサス
パーク・メールバイク
メーリニコフ邸
ジョンソンワックス本社
フラットアイアンビル
泥の大モスク


4章 (知的研鑽を提起する)「奇智」
サン=シュルピス教会
パンテオンとフーコーの振り子
オックスフォード大学博物館
サイオンハウスの大温室
テート・モダン
大英博物館グレートコート
オーストリア国立図書館
ベルリン・ユダヤ博物館
クロイスターズ
ウッドストックの音楽堂
屏山書院

5章 (自己流の風流をここまでやるかと思わせる)「数奇」
シュバルの理想宮
旧ムニエ・チョコレート工場
パサージュ・ジュフロワ
マジョルカ・ハウス
サー・ジョンソン・ソーン博物館
ツリーハウス
カステル・コッホ
ワッツタワー
ハースト城
児島寅次郎邸茶室
耕三寺

6章 (神仏の霊験を表現した)「神奇」
聖ワシリー聖堂
キージ島の教会
サンタンジェロ城
ゴルのスターブ教会
聖ミハエラ教会
クリシャン・サイエンス派第1教会バークリー
ファットジェム大聖堂
昌徳宮
首里城正殿と玉陵
御塩殿の天地根元造
会津さざえ堂

7章 (既成概念に確信犯的に叛く)「新奇・叛奇」
アインシュタイン塔
オリンピック競技場
ドイツ連邦議会議事堂
ソニー・センター
ウィーン郵便貯金局
セセッション館
ロースハウス
シュレーダー邸
ル・ランシーのノートル=ダム教会
イタリア文明館
メルモンテ日光霜降
奇想遺産―世界のふしぎ建築物語(amazonリンク)
ラベル:書評 建築
posted by alice-room at 18:10| 埼玉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 建築】 | 更新情報をチェックする
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