冒頭すぐに明らかになるので書きますが、今回争いの元になるのは、コプト教の寺院に伝わる古写本で、それは聖ペテロの最後の言葉でそうです。それによって、聖ペテロの遺体がある場所がローマでなくなくってしまい、バチカンの権威が失墜するので、それを防ぐ為にバチカン側が無かったことにしようと画策します。
と同時に、発見されたのがそれぞれの政治勢力が陰謀を巡らす複雑な政治環境のエジプト。ここが舞台となり、CIAや政府関係者、大富豪、地元の有力者が入り乱れて、発見物を奪い合い、写本の発見者であるイギリス人考古学者が巻き込まれていきます。
写本自体は、単なるネタでほとんど何の意味もない、ただゲームの賞品の位置付けですのでどちらかと言うと、中東の政治情勢とキリスト教に関する知識がないとそもそもこの環境が理解できないし、関心も湧かないかも?
もっとも環境は面白そうだけど、写本取りゲーム以上のストーリー展開はありません。登場人物の登場意義が分からないまま死んでくし・・・かなり痛々しい主人公がちょっとパス。
私はお薦めしませんね。
著者はインド生まれのインド人だが、子供の頃からイギリスで暮らしていてオックスフォードのトリニティー・カレッジの出身。だからかな?この陰謀好きなところは。主人公自体はスパイじゃないんだけど、ノリはほとんどスパイ系小説ですね。
中近東だけでなく、アジアもそうだし、中南米なんかも本書で描かれるようなノリですね。正義はお金で買えるものでしょう、って。
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