そこで見つけた一冊。徐福に関する話は、いろんな本でよく聞くもののまとめてきちんと読んだことが無かったので本書はその点で正解でした。
著者は刑事コロンボなどの翻訳や小説を書いたりしている人でご自身も書かれているが、史実としてどうかとかそういった点には関わらず、あくまでも歴史ロマンとして、各種の文献・書物にこういった記述があると引用・紹介している。
従ってたぶんに眉唾ものらしい伝承や記述が出てくるものの、それはそれとして受け取り側が後で取捨選択し、史実か否かを選り分ければいいことであり、本書は何よりもたくさんの文献から、関連する部分をまとめてくれているのが大変有用です。
本書を読むことで徐福に関する雑多な情報(虚実含めて)の概観をおさえられるし、その幾つかはそのまま引用されている。また、引用先の書名も分かるので、本書をきっかけにしてどんどん調べることもできる。
私のような、何でも知りたい&調べたい派には嬉しい本です。
具体的に興味深い文章も多数あり、それらは別途メモとしてまとめますが、楊貴妃が日本に来たという楊貴妃伝承まで紹介されていて実に楽しいです。
著者が本職のもの書きなので、文章も大変読み易いですし、この手のものに関心のある方にはお薦めです。私もそうしたいですが、本書を読んで更にその原典をあたるとより楽しくなれそうな気がします。
但し、歴史的な正確さ等を求めると本書は対象外になりますのでご注意を。
【目次】
第1章 徐福は神武天皇か
第2章 始皇帝とその時代
第3章 始皇帝の不死願望と神仙思想
第4章 不老不死の仙薬とは何か
第5章 徐福は何をめざして渡来したか
第6章 蓬莱伝説と始皇帝の真人願望
第7章 『宮下文書』にみる徐福の富士渡来説
第8章 日本各地に伝わる徐福伝承
第9章 徐福は弥生文化に何をもたらしたか
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