
思いっきり惰性で書きなぐってないか~い? という感じ。田中氏の作品は、文中にあふれる毒舌が一つの魅力であり、きちんと調べられた事実に、いかにもありそうな創作をプラスした著者一流の社会批判もなかなか痛快である種のストレス発散になるぐらいのカタルシスがあるのですが、本書にはそういうのがほとんど感じられない。
またいつも出てくる怪物等も、ちょっとひねった素敵な物が多いのだが、今回は安易過ぎて3流C級もののSFか特撮ものになってしまい、非常に残念でした。結構、好きでこのシリーズも毎回読んでるのになあ~チェッ!
でね、本当はつまらないはずなのに、何故かそれなりに読めてしまうのが悔しいです。ちょっとした息抜きには、やっぱりこういう本も欲しかったりする。いつものが極上の千疋屋のデザートなら、これは普通のスーパーで売ってるプリンとかのレベル。でも、それなりに食べれてしまって美味しかったりするのだから困る。図書館で借りて読みましょう。買うのはさすがにもったいないです。
では、あまりこの手の本を御存じない方向けに、ざっと登場人物のご紹介。主役は東大法学部を卒業し、当然の如く国家一種をパスして警察官僚になっている見目麗しき27才の才媛が主役。それが日本最大の警備保障会社のお嬢様兼大株主。お父様の人脈は、当然、警察本庁内部に及び、自分の会社ではたくさんの天下りまで受け入れているという素敵な御実家をお持ち。本人自身がラテン語を始め、語学にも堪能で勿論、能力上は何をとっても欠点がないのだが、人間性に致命的な欠陥あり・・・!
なんせ通称「ドラよけお涼」。その問題ある性格ゆえに、ドラキュラさえもよけて通るという意味で警視庁では、もっぱらの噂なのである。まるで「カミソリ後藤田」みたい(笑)。
首都東京で頻発する常識想定外の難問に、お供として官僚のお守り役たる男性(ノンキャリアで年上)を引き連れてバッサバッサと快刀乱麻のごとく解決していく訳です。名目上の上司さえ、自分の意のままに操り、ゆくゆくは警察庁を乗っ取り、好き放題の活躍(?)をしようと計画している内乱首謀者(?)であったりします。
日本にあふれる不条理な論理や常識を、一切合財無効にしてしまうその迫力はなかなか頼もしいものを感じますね。しかも、根は善人でお金持ちゆえ、汚職や賄賂のようなさもしい役人根性を毛嫌いするあたり、庶民の人気を得そうです。但し、現代の女傑は、義ある人ではなく、その行動原理が究極までの利己主義っていうのが、いかにもいまふうでまたそれが魅力ともなっています。
きっと10代ぐらいがメインの読者層でしょうね。それにプラス20代の学生ってとこかな?暇つぶしに読むには、いいと思いますよ~。これも1巻から読まれることをお薦めします。今回のは最後が特にいけてないのでパスしてもいいと思いますけどね。
ちなみに一応今回の話としては、新宿御苑で初夏なのにいきなり木々が枯れ落ちることからスタート。すわ細菌兵器のテロか・・・なんてノリで始まります。後は読んでいたら、終わってしまうといういつものパターンです。
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お涼さまが、登場するとは、予想外でした。(笑)僕も一応全巻読んでいます。ストーリーというよりは、キャラクターで読ませる小説ですからマンガ向きだと思います。マンガ版を読んで、これだけ違和感のない小説も珍しいです。
今の田中芳樹は、中国ものの方が面白いです。「天竺熱風録」等は力を入れて書いていると思います。
田中氏の中国もの最近多いですよね、ほんと。いくつかは私も読みましたが、「天竺熱風録」は知りませんでした。今度、意識して見てみますね。情報有り難うございます。
『ラインの虜囚』なので、薬師寺涼子とは全然関係ないのですが、田中芳樹繋がりということで、TBさせていただきます。
一番面白かったのが、参考資料リストでした。(笑)
それでは、よろしくお願いいたします。
薬師寺涼子つながりで、TBさせていただきますので、よろしくお願いします。
例によってこのシリーズ、それほど面白くありませんが、買ってしまいました。(笑)
コミック版も、もうすぐでますが、そちらも買う予定です。
別の所へ、配属してもらったらいいのじゃ?
本当に壊れたら本人も家族も気の毒だし・・
別の所でそう書いたら、以外としぶといか大丈夫でしょうとか、薬師寺シリーズの唯一のギャグがいなくちゃあ困るから、かんばってほしいとコメントがありました。
私的には、お涼様の周りでちょこまかと邪魔なのか、お役に立っているのか分からない活躍(?)を今後も期待したいところです(笑顔)。