
ああ、西尾さんってこういうモノ書けるんだあ~。ちょっと見直したというか、改めて西尾氏の才能の幅に感嘆しました。理詰めできっちりと作り上げられたプロットに基づく語りは、他の作品でもちらほら片鱗は見せられていましたが、本質的な部分でやっぱり力量のある作家さんだと思います。
本作は、他の作家さんが作られた設定を引き継ぎつつ、ミステリーを描くという特殊なものではありますが、そういった点を意識しなくても良いほど、読ませるミステリーになっています。
とりあえずの真犯人やおおよその状況設定は、探偵の出番を待つまでもなく、想像がつきますが、そのトリックやその後の・・・については、まさに西尾氏らしい終盤作りと云えましょう。どうにも一筋縄ではいかないです。
しかし、珍しく作中のどのキャラにも萌えられません。あえて選ぶと・・・○○ですが、ここではネタバレに繋がりかねませんので自粛。う~ん、実に正統派っぽい(ニアリーイコールではあっても本格派、正統派ではないのですが・・・)作品です。それなりに面白いけど、いわゆる西尾作品のファンには、辛いかもしれません。私はそこそこスキ!
一応、粗筋を書くと、大変著名な作家が失踪する。その子供達はそれぞれが作家になっているのですが、父である作家の失踪後5年経った時に、とある怪盗から予告状が届きます。失踪した父の作品を盗みに来ると。
子供達の誰もが知らない未発表の作品。失踪後、閉ざされたままで「開かずの間」と化した父の仕事部屋。そしてそこで悲劇が・・・。
まあ、よくストーリーですが、大変薄いわりに中身は凝縮されてます。一読しておいていいかもしれません。
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