2005年10月03日

「AVE―天使・聖母マリア・イエス」若月伸一 東京書籍

ave.jpgそれなりに大判で見易いサイズの写真集となっています。実際、写っているのは歴史ある教会で飾られている綺麗な天使やマリア、イエス等々です。私も含めて日本人が好きそうって感じがします。

ですけどね、冷静になって考えるとこの本って、問題有り? 実はこの著者、以前に出した本が結構売れたんだと思います。確か聖母マリア関係の同じノリの本です。そちらは私が見ても良かったし、買おうかどうしようか今も迷っていますが、この本はそこで売れたので二匹目のドジョウを狙って作られたものではないでしょうか? 

だって、写真の水準が前よりも落ちていると思います。何故、そんなことを言うかというと、フラ・アンジェリコの「受胎告知」の写真が変。素人の方が絶対にうまい!! 他のも被写体がいいものの、紙面が大きいので写真が大きくなっているだけで、デジカメの500万画素に望遠レンズ付ければ、正直言って素人でもこれぐらい撮れそう。勿論、私は素人なんで写真としての芸術性が分からないだけ、という可能性もありますが、これは残念。

しかも前は同一テーマであったから統一感がありましたが、この本は残った写真を集めただけじゃないかな?キリスト教その他大勢をテーマにしていますが、とりあえず残っているのでもう一冊本を作ろうとしたのがありありと出てる…だって、タイトルにそれ表れてません?これってただの観光写真とどこが違うのだろう? 

著者の経歴を読むと、ヴァチカンの大学で勉強したり、イタリアにいたり、現在はドイツにいらっしゃるようですが、だったらもっと多数の素晴らしいものを目にされていると思うんです。きちんと勉強されていらっしゃるはずのに…、それゆえ手抜きではないかと? 御自分の生活圏内のイタリア・ドイツを中心とした作品ばかりで、なんだか納得が行かない…。ヨーロッパにはもっと&もっと素晴らしい宗教芸術が無数にあると思うんですけどね、プラハでもスペインでももっとあるでしょうって!

なんか批判ばかりですが、実際に見ると綺麗でそれなりに素敵に見えます。悪くは無いんでしょうが、どうもやっつけ仕事に思えてしまうんですよ~。大判にして写真減ってるみたいで、値段だけ高くするのって…。出版社が楽して稼ごうとしてませんか? 写真集だから、説明を求める私が間違っているのかもしれませんが、それぞれの写真にはほとんど解説がありません。ただ、教会の場所と題名ぐらい。せっかく知識のある著者が説明もせず、ただ写真を並べてもなあ~。

まあ、お金に余裕があればいいんでしょうが、3千円の価値を見出せませんでした。但し、悪い作品でもないと思います。私の見方がうがっているのかもしれないですし。もし買われる方は実際に見てから買われることをお薦めします。老婆心ながら。

(右)ニュルンベルクの聖ロレンツォ教会 (左)ストラスブール 大聖堂

ニュルンベルクの聖ロレンツォ教会、大天使ミカエル

フランスのランス、大聖堂、受胎告知

ランス大聖堂の受胎告知

スペインのサラマンカ、新大聖堂、東方の三博士

スペインのサラマンカの新大聖堂 東方の三博士

ケルン、大聖堂、東方の三博士

ケルンの大聖堂、東方の三博士

ローテンブルク 聖ヤコブ教会、最後の晩餐

ローテンブルクの聖ヤコブ教会、最後の晩餐

ニュルンベルク聖ロレンツォ教会、聖ヴェロニカ

十字架を背負うイエスのお顔を拭いたいわゆる「聖骸布」ってやつです。女性は聖ヴェロニカ。ニュルンベルクの聖ロレンツォ教会

ランス大聖堂

やっぱり綺麗です。ランス大聖堂のステンドグラス。

AVE―天使・聖母マリア・イエス(amazonリンク)
posted by alice-room at 20:55| 埼玉 ☁| Comment(5) | TrackBack(0) | 【書評 美術】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
。。。というものを狙うのは人情かもしれませんが、手抜きが見えるとがっかりしますね。そういう本良くあります。
街角の名もなきマリア像、キリスト像などの入った祠の写真も面白いかと思っていて、とり始めましたが、まあそんな写真集はよくあるかもしれません。
いずれにせよ、私ももっとまじめに写真とっておこうかな。。。資料としては楽しいかも。
Posted by seedsbook at 2005年10月04日 02:52
期待しちゃうからこそ、余計に悔しいし、残念なんでしょうけどね。ちょっと悲しかった。

そうそう、冗談抜きにseedsbook さんから頂く写真なんて、すごくいいと思いますよ! 日本に来た時に出版社に売り込んで下さいよ~。売れたら印税で奢って下さい(笑顔)。
Posted by alice-room at 2005年10月05日 00:00
alice-roomさん、こんばんは
僕は、この本をパラパラとめくりましたが、結局買いませんでした。
その時は、気づきませんでしたが、ローテンブルクの聖ヤコブ教会の「最後の晩餐」の写真も入っていたのですね。この作品は、実物を見たことがあります。何だか懐かしかったです。
ランス大聖堂は、素晴らしいですね。実物を見てみたいものです。
seedsbook さんの写真は、僕も素敵だと思います。

Posted by lapis at 2005年10月05日 01:08
Alice-roomさんLapisさん。
持ち上げないでもいいのですよ(笑)
わたしの力量は時分で一番知っているので。

しかし、そういう写真でも珍しい楽しいで押しちゃう手もありますから頑張ってみようかな。(身の程知らず)

Posted by seedsbook at 2005年10月05日 02:01
lapisさん>実物をご覧になったことがあるんですか、やっぱり自分の目で見るのが一番ですよね。それは羨ましい。
ランス大聖堂、私も是非行ってみたいです。フランスには、あちこち回ってみたい教会が多くのんびりとフランス国内巡りもしてみたいです。
もっとも、その前にドイツを初め、行ったことのない国々も回りたいし…。優先順位が難しいです。

seedsbookさん>今のカメラは性能いいですから…(冗談です、腕は関係ないとか、そういう意味ではありません)。でも、自分がいいなあ~と思う被写体を見つけ出して、好きな角度で写真を撮るのって楽しいですよね! 私自身が結構そういうの好きなもんで。構図も何も考えずに、とりあえず気に入るとパチパチと何枚か撮ってます。ぶれたり、露出が悪かったり、失敗作も多いですが、数撮っていると中にはマグレでそれなりにいいのがあったりして、それも楽しんじゃってます(笑顔)。
そして、これからもseedsbook さんのお写真楽しみにしております。
Posted by alice-room at 2005年10月05日 14:02
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