2008年02月03日

週間朝日百科 世界の美術 ゴシック美術

昭和53年に毎週一冊で全14巻140分冊予定で販売されたもの一つです。

まずは、非常に大きな紙面にたくさんの写真が載っていて視覚的にかなりのインパクトがあります。内容ですが、紙数の制約を考慮すれば、ちょっとした美術全集並みの水準になっています。

そもそも執筆者が私も何冊もその著作を読んでいる御馴染みの方々ばかりなんですけどね。馬杉氏、柳氏、前川氏等々、その筋の専門家が書かれています。

従って、限られた文字数でそれなりの解説が書かれているのですが・・・私は執筆者達の本を何冊も読んでいるので、その解説が何を指して言っているのか理解できましたが、全く予備知識の無い方が、この解説を読んで分かるのかというとはななだ疑問です。

文章自体は、平易で誰でも読めるのですが、そこに表現されている内容はとてもじゃないが、一言で説明できるようなものではなく、まともに理解しようとしたら、それだけで数十頁が必要だと思うのですが・・・。

単純に美術や建築が好きな人が予備知識無しにこの解説を読んでも、字面を追うだけで執筆者が本当に意図している事を掴むのは、無理だと思います。それぐらい、深い説明とも言えるのですが、一方で私的には物足りないなあ~というのが率直な感じです。

写真も悪くはないのですが、改めてみると、いろいろと不満が・・・。まあ、無いものねだりばかりしても仕方ないですね。私的には、ある程度知っている人が確認として読むのに良い本(雑誌)かと思います。

まあ、写真がそこそこ入っているので、それを眺めるだけでも楽しいかもしれません。但し、ステンドグラスの写真は、やっぱり駄目です。あまり綺麗とは言い難いし、そもそものデザインが判別できないものもある。それだけ写真デステンドグラスを撮るのって難しいんですけど・・・。

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posted by alice-room at 22:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 美術】 | 更新情報をチェックする
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