2008年02月04日

「物語チェコの歴史」薩摩秀登 中央公論新社

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プラハに行ったことはあるものの、私はチェコの事を何にも知らなかったんだなあ〜と改めて思い知らされた一冊です。歴史を無味乾燥な事件の羅列で説明するのではなく、その時代時代で活躍(それなりに時代的評価を得た人物?)した人物を中心にして、チェコの辿ってきた複雑怪奇な歴史を紹介しています。

普通、こういうのって読んでるとかなりだるく(眠く)なる場面が多いのですが、珍しいことには本書ではそういうことがほとんどありませんでした。

古くからの名門大学プラハ大学を持ち、神聖ローマ帝国の首都であったり、フス派の本拠地だったり、怪しげな錬金術やゴーレムの街といった断片的な知識(?)はあるものの、本書を読んで初めて私の中でチェコという国が一つの線で結ばれたような気がします。

私のような初心者には、まさにうってつけの本でした。チェコに関心のある人、これからチェコ(プラハ)に行く人、是非&是非、目を通しておいて欲しい本だと思います。

本書を読むことで、観光名所を何十倍にも楽しむ事がきっとできると思います。プラハ市内にあるシナゴーグ、種々の迫害を受けつつ、ああして残っている歴史的な意義をようやく初めて知ることができました。
ゴーレムの土塊があるだけではないんですね。ふむふむ。

そして、クレメンティウム。悔やんでも悔やみ切れないけど、やっぱり行っとくべきでした。あそこって決まった時間に案内する人がいて、その案内でないと見学できないようだったので、とにかく拘束されるのを嫌う私は、もういいや!って感じで見るの止めちゃったんだけど・・・本書を読んで益々見たくなりました。

あれってイエズス会の学校だったんですね。プラハ大学関係で教育監督の覇を争っていたとか、全然知らなかったので本書を読んで実に惜しい事をしたのに気付きましたよ〜。今度行く機会があれば、忘れずに見なければ!!

とにかくいろんな意味で面白いです。出版業者なんかの話も私には、とっても面白かった。

そうそう、本書でさらっと出てくるのですが、スウェーデン軍がプラハ侵略の為、戦闘を行い、講和後、撤退する時にルドルフ2世が集めた文化財や芸術作品の数々が略奪されたらしい。こ、これなんですよ! うちのブログでも以前に採り上げた「悪魔の聖書」が略奪されたのは。

で、去年数百年ぶりに里帰りしてプラハで公開され、大いに話題になってのって!

いやあ〜、こういうふうにいろんな出来事が結び付くのは、本当に楽しいです♪(満面の笑み) 

「悪魔の聖書」絡みで調べていても、スウェーデン軍が略奪とか言っても前後関係が分からず、???だったのですが、歴史的な経緯が分かるとまた捉え方が全く変わってきますね。チェコの人々が大いに話題にするのは、この歴史的経緯を理解して初めて納得がいきます。ただ、悪魔の絵があって珍しいから・・・な〜んて考える私のような理解ではダメなんですね。反省。

私のような誤解をしない為にも、チェコに関心があるなら、読んでおくべき本でしょう。他にもいい本があるかもしれませんが、私は知らないので入門書としてお薦めします。
【目次】
第1章 幻のキリスト教国モラヴィア―キュリロスとメトディオスの遠大な計画
第2章 王家のために生きた聖女―聖人アネシュカとその時代
第3章 皇帝の住む都として―カレル四世とプラハ
第4章 「異端者」から「民族の英雄」へ―教会改革者フスの業績と遺産
第5章 貴族たちの栄華―ペルンシュテイン一族の盛衰
第6章 書籍づくりに捧げた生涯―プラハの出版業者イジー・メラントリフ
第7章 大学は誰のものか―プラハ大学管轄権をめぐる大騒動
第8章 大作曲家を迎えて―モーツァルトとプラハの幸福な出会い
第9章 博覧会に賭けた人たち―チェコの内国博覧会
第10章 「同居」した人々、そしていなくなった人々―スロヴァキア人、ドイツ人、ユダヤ人
物語チェコの歴史―森と高原と古城の国(amazonリンク)

ブログ内関連記事
NHK世界美術館紀行 プラハ国立美術館
魔女と錬金術師の街、プラハ
「THE GOLD 2004年3月号」JCB会員誌〜プラハ迷宮都市伝説〜
「悪魔のバイブル」、350年ぶりにチェコに里帰り
悪魔のバイブル(Codex Gigas)に関するメモ
「ヨーロッパの歴史的図書館」ヴィンフリート レーシュブルク 国文社
「異端審問」 講談社現代新書
「謎の蔵書票」ロス キング 早川書房
「変身 他一篇」カフカ 岩波書店
posted by alice−room at 22:03| Comment(4) | TrackBack(0) | 【書評 歴史A】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これは、これは。
プラハにはまた行きたいと思っている以上、抑えておくべき本なのですね。
クレメンティウムはワタシも時間をミスして見られませんでした。よーし、やはり再トライだ!!と改めて意を決したOZでございます。
ところでローマで一番最初のイエズス会の教会を訪ねました。
後ろの小さな部屋にはミッション先、日本のことが描かれている絵が確か2点ほどありました。
キリスト教徒の受難を描いたものです。
Posted by OZ at 2008年02月06日 04:41
OZさん、こんばんは。
またプラハに行かれるなら、是非、目を通されておくことをお薦めします。クレメンティウム、私も今度は無理してでも見ますよ〜!! 同じく再トライです!

そういえば、バチカンに日本から献上された南蛮屏風があったとかなかったとかが以前ニュースになってました。何気に関係がありそうですね。でも、ローマのイエズス会の教会にある絵に日本のことが書かれているというのは、ちょっと不思議な感じがしますね。

おっと、それで思い出しました。今度、新しくイエズス会のトップに立った人物。現法王と仲が悪いとかの記事が報道されてました。以前、日本にも宣教に来ていて、上智大学で教えていたことがあるそうです。ちょっと、関心が湧きますね。教育熱心で有名ですからね、イエズス会。もっとも目的がアレですけれど・・・。
Posted by alice-room at 2008年02月06日 21:48
ほほぉ、現法王と仲が悪いんですか?!
じゃあ、良い人だ(笑)
・・・敵の敵は友達理論(って、敵なのか、現法王は・・・・笑)

こういうのって我ながら下世話だなあ、と思いつつやっぱり興味があります(爆)

にしてもプラハ。
そうです。再トライしましょう!!
Posted by OZ at 2008年02月07日 01:55
いやあ〜いい人かどうかは分かりませんが・・・(苦笑)。結構、あちこちの新聞ではやしたてられてました。

プラハ、やっぱりいいですよね。若い頃、チョコ語を専攻していた知り合いの女性がいて、彼女は毎夏一ヶ月をチェコで過ごしていましたが、その人の影響でプラハに関心を持ったきっかけでした。懐かしい思い出です。
Posted by alice-room at 2008年02月07日 21:59
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