
未だにノヴェライズされた小説というものに、時代遅れの偏見を持ってしまう私ですが、さすがは攻殻機動隊、期待を裏切らない出来でした。
本書はTVシリーズを手掛けた人物によるノヴェライズですが、映画とコミックだけでTVシリーズは未見の私でも、イメージしていた作品の世界観にズレはなく、十分に楽しめました。
攻殻機動隊ファンは間違いなく楽しめるでしょうが、それにこだわらなくても十分に高い水準で一つのSF作品として満足できるものとなっています。株価がどんなに下がっても、日経新聞の記事内で日本が世界からいかに相手にされてなくても、こういった作品を生み出せる日本なら、まだまだ『日本終わっていない』って感じました!
以前なら、この手のSFはアメリカと相場が決まっていましたが、彼らの描くサイバー世界より、こちらの『情報』をキーにして世界を読み解く『電脳』社会の方がはるかにリアリティーを覚えます、私。
2030年まであと22年、十分にこの電脳世界は実現できそうです。いやあ~長生きしたいもんです。いくら技術が変わっても人そのものは変わらない反面、技術によって社会や制度は明らかに激変していく。その辺をうま~く扱っていて、もうぞくぞくするほど、こういうのスキ!
粗筋は、ご存知公安9課が要人の警護をしている。同時に頻発する若者によるテロ事件。それらを取り結ぶ関係とは・・・。何故、普通の若者が突如、自らの命さえ省みないテロを行うのか・・・。それらを裏で操るものの正体とは。
まあ、表面的なストーリーは完全な定番ですが、読み物として十分に読む価値があると思います。お好きな方には一読をお薦めします(笑顔)。う~ユビキタス時代は、まだか? 新規事業は「夢屋」を開こうかな? 共同経営者募集ってネ(ニヤリ)。
そうそう、表紙の絵はどうしたものかな? いかにもアニメアニメしていて、SFとは思えないのは顧客予備軍を狭めてしまうような気もするのだけれど・・・?
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 虚夢回路(amazonリンク)
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イノセンス(2004年)押井守監督
この小説が面白かったのなら、是非ともTVシリーズを見るべきです。TVシリーズの方が、もっと面白いです。特に「S.A.C.」はお薦めです。少しだれている回もありますが、第20話から25話の怒濤の展開はなかなかすごいものがあります。
1stシリーズの全26話、機会がありましたら、是非ご覧になってください。
攻殻機動隊はいいですね。これのネタ本がケストラーの「機械の中の幽霊」なのですが、これの中古の文庫本に高値がついていて、この間びっくりしました。
値段のショットの画像を保存してあります。
http://ameblo.jp/kwin/entry-10062959903.html
kwinさん>そうなんですか! ブログ拝見して初めて知りました。ネタ本の件、是非とも読んでみたくなりましたが、ちょっと(だいぶ?)高いですねぇ~。
どっかの図書館にないか探して読んでみたいです。素敵な情報どうも有り難うございました。
>映画とコミックだけでTVシリーズは未見の私でも
>映画とコミックだけでTVシリーズは未見の私でも
一応「情報と書評」というテーマを持って運営されているブログのエントリとしては、こういうことを臆面も無く書かれるというのはどうなんだろう。私は別に熱狂的ファンというわけではないけれど、最低限S.A.C.第一シーズンくらい見てからでないと恥ずかしくて書けないでしょう普通。
そうですね、詳しい方から見ると、いささか無責任かと思われるかもしれません。うちのブログの場合、感想寄りの書評であり、本の書評を書くのにはむしろ当該作品以外の情報は排除すべきなのが、より好ましい書評だと思います。
ただ、個人の書くブログにそれを期待されるのは実際難しいと思います。私はこの書評でお金を稼いでるわけではありませんので、読んで役に立つと思われる方にご覧頂ければと考えております。
また、そもそもうちのブログはメインテーマは、どちらかというと中世関係の建築・美術等の書評になりますので、その点でもお役に立てないと思います。
むしろ、ネット上にはその辺を専門に書かれていらっしゃるはるかに詳しい方がいらっしゃいますのでそちらをご覧になってはいかがでしょうか?
お役に立てなくて恐縮ですが、ご理解頂ければと思います。