
ここまでは表向きの理由。実は、パラパラと中身を見た時に、鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」芸術助手をしたこともある古書店店主の話があり、その部分が読みたくて借りたようなもの。まあ、読んでもたいしたことなくてちょっとがっかりでしたが・・・。
で、読み終わった感想。
う~ん、人気のある理由が分からないなあ。庶民的な古書好きで憎めないライターさんという感じで好感は持ちますが、私の勝手な偏見からすると、古書好きは良くも悪くも一癖も二癖もある変わり者で、ある意味凄いんだけど、ちょっと変?ってな感じが、面白くて好きなんですが・・・。カッコ良く言うと、「自分の世界を持っている」とかね。悪く言うと、偏狭な独善主義みたいな。そういうのが一切感じられないイイ人っぽいキャラがちょっと想像と違いました。
まあ、それは別にどうでもいいんですが、選ぶ本の趣味が全く違うのもあるのかなあ~。実際に古書店で購入された書名等も紹介されているのですが、私の購入対象外の本ばかりで一冊も欲しいモノがなかったせいもあるかも? あと、この本に出てくる古書店で神保町以外にも何店か知っている古書店が紹介されていたんですが・・・、正直私が実際に行った時の印象とだいぶ違うだもん。
別に嘘を書かれている訳でもなく、無理してお店を誉めているとかいうことでもないんですが、私が体験したお店の印象とはまるっきり違うんです。ということは・・・私には古書店の紹介も無意味だしねぇ~。個人的には、もっと&もっと凄い古書店の記憶があちこちでありますもん。
著者さんが全国古書店地図を使っているのもちょっと抵抗が・・・。私も昔は買っていたことあるし、使っていたことあるんですが、あれってあまり役立たないような気がするんですが・・・。勿論、ライターさんの立場上、スポンサー関係の点でも使用するのは分からないでもないですが、あれってあまり面白くない(個人的実体験に基づく)。
私は国内もあちこち旅行しますが、時間が余るとその土地の古書店探しをしたりしますし、いろんなところを散策しながらも古書店を見つけたら、とりあえず覗くというのは誰でもそうでしょう。基本は足で探すです。そういう中で見つけた特徴のある古書店さんの紹介とかを期待していたので残念でした。
実際に、本当になんだこりゃ?!っていう古書店があちこちにありますからねぇ~。先日も数ある中でも、あの本棚の光景は異様(威容?)としか思えなかった川越の「コミックランド高橋書房 」に行ったのだが、な・なんと閉店していたのでした。もっと早く行っておけば良かった!! 残念&無念。よりによって、あれだけあった本が業者とおぼしき人に束になって売り飛ばされていく姿を見る羽目に。あ~あ、知ってたら値切って山ほど買っておいたのに・・・。
それが今月の話でちょうどブログにも書きたいと思っていたのだが、この本屋さんはとにかく文庫(単行本も)の量が半端じゃなく多い。巷の古書店さんのように、市場価格にスライドさせて値付けするのではなく、郊外型らしくほとんどブックオフ的な値付けだったように感じた。ということは、珍しいものが格安に手に入るということで私的にはすごく良かったんだけどね。この店は天まで届くかと思うほど、高い本棚に上からびっしりと本が積み込まれ、しかも奥行きがあって本を取ると、またその奥に本があるという形で、まさにブックハンター向きの場所だったようにも思います。
しかも店主の方の方針なのか、ジャンルを問わず、昔の本も売れる売れないに関わらず、置いておかれているようでこんな本がまだあるのっていうまであって、発見した時の嬉しさもひとしおだった。もっともこれだけあると管理が大変なようで本は例外なくホコリをかぶっており、軟弱な私はここで買った本を玄関ではたいてホコリを落とし、濡れたフキンで綺麗に拭いてからではないと部屋に持ち込めなかった。それでなくとも杉とホコリのアレルギーなのに。
さらに、思い出すのはこの古書店には2階があり、普段は照明もついておらず物置のようになっているのですが、お店の方に一声かけると、明りをつけて入らせてもらえる空間があった。特にここなんて、どこぞの倉庫のようであり、一人でそこに入り、本を探しているのはまさに時間や空間を超越したワンダーワールドにでも迷い込んだ気がしたものだった。まあ、そういう訳でだてにアリスと自称しているわけでもない(ほんとか?)。
店主がお亡くなりになったのかな? 事情は分からないのでなんとも言えないが、ここの閉店は非常に寂しい思いがしたものである。必ずしも良書があるという本屋さんでもないが、少なくとも神田神保町の古書店にも負けないくらいの強烈な個性があったのは間違いない。こういう古書店が無くなるのは本当に悲しい。(できれば、こういう古書店の紹介を期待していたのだけれど・・・。本書にはそういうものが無かった。)
うわあ~、余談が長過ぎですね、すみません。本の感想に戻ります。
まあ、軽~く読むエッセイとしてはいいのかもしれません。読んでいて抵抗感無く、ススッ~と読めるものばかりです。私の興味をひく話はほとんどありませんでしたが。均一棚の話も正直それほど面白くも無かった。こんなことを言うと、古書好きの方に叱られるかもしれませんが、ブックオフの100円均一棚の方が、ど素人による機会的な選別だけに面白いものが多く紛れ込んでるのも事実だしね。勿論、地方のひっそり埋もれるように隠された古書店で、宝の山が誰にも知られずに眠っているような事も、実際ありますが、日々のお買い得品探しにはどうでしょうか? まあ、両方併用が当然ながらベストです。あわせてネットの古書店も有用ですしね。
そうそう、一般人が入れる古書展の紹介はちょっと良かった。知識として知ってはいたけど、わざわざ行くのが面倒なのと興味が湧かなかったので行ったことがなかったが、とりあえず一度は行ってみようかと思った。それがこの本を読んで役立ちそうな収穫かな?
あと天牛書店さんが載っていたのは、ちょっと嬉しかった。関西にあるので直接は行ったことがなかったが、ネットで本を購入したことがあり、気になっていた古書店さんだったのでリアル店舗のことも知りたかったので。
その他には・・・特に無いなあ~。古書の書き込みについても触れられていたけど、個人的にはもっと面白いの見たこといっぱいあるもの。とある地方都市の相当年代物の古書店さんのガラス入り陳列棚に皇族の方がアルブの王族に謹呈した署名入りのアラビア語の本があったが、あれって何? こんな田舎の本屋さん(失礼!)で値段が20数万円とか書いてあったが、誰が買うんだろう??? まあ、いいんですが・・・。
古書店をテーマにしているので触れられていないが、公立の図書館なんかも実は、なかなか捨て難いものがあり、場所によっては珍しいものを所蔵していて楽しいんだけどね。特に地方の郷土史資料なんて、そこにしかないレア物ばかりだし。そういう話がないのも当たり前だけど、残念。
先日、国会図書館に行った時には連れがいたので調べなかったけど、自分が持っている本で国会図書館に無い本を探して、密かな優越感に浸るという小市民的(つ~か「小人」)な喜びのことも書かれてないなあ。あれはあれで楽しいんだけどね。国会図書館に美本を一冊納めなかればいけないという法律は、昭和20年ぐらいじゃなかったかな?戦後の話だと思ったから、それ以前の本だとないのがたくさんあるんだよね。当然だけど。あと、それ以外だと発禁本とかね。その辺りのエピソードとかも面白いのだけど、本書には無いなあ~。
いろんな意味で表面的で浅く感じてしまうのですけども。もっとディープなのが興味あるなあ~個人的には。
本書とは全く違いますが、やはり古書関係だと何はなくとも紀田順一郎氏の本だなあ~。また読みたくなってきました。というわけで、私的には本書はイマイチ。マニア向けではないかと。一般向けで、これまでそういう本を全然知らない方には、いいかもしれません。ちょっとえらそうですが、私も本は大好きですのでこういうコメントになりました。
そうそう、今週末は神田の古書祭りだ。頑張って行かねば&ねば。
古本屋さんの謎(amazonリンク)
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ご自分で書いて見たらいかがですか?そうしましょう。私楽しみにしていますから(笑)
カンダに行くと、ここで地震があったら。。。火事があったら。。。と必ずパニックシーンを想像せざるを得ない店ありますよね。体横にしてほんの間をすり抜けるのはなかなかスリルありました。地震がなくても、何かおこりそうで。。。
だって、本好きの方って魚釣りをする人やクワガタを採る人と同じで絶対に素敵なポイントって教えてくれないし、怖いんですよ~。品揃えがいいのに知られていない店が噂になると、あっという間にみんなが買い漁っていってしまいますもん(笑)。いやいやホントなんですよ~。買った本のお話で御勘弁下さいませ(御辞儀)。
あっ、でも本当に古書店の内部は危険がいっぱいかも? 床が歪んでいるなんて普通にありますもんね。危険と背中合わせの宝探し。まさにインディ・ジョーンズの世界です(ほんとかな?)。