2005年10月27日

「イエスの古文書」アーヴィング ウォーレス 扶桑社

kobunsho.jpgイエスの弟が書いた福音書が発見された。これまで知られているどの福音書よりも古く、後世の教会関係者によって脚色されたものとは明らかに異なる真のイエスの活動を伝える奇蹟の書。その新しい聖書を出版し、世界に広める広報・宣伝担当を主人公のやり手広告代理店経営者が任される。彼を取り巻く敵対勢力の存在。新しい聖書に渦巻く陰謀の数々。非常に、関心をそそられて是非とも読んでみたかった作品。「イエスの弟」に関しては、既にいろいろ記事や本まで読んでいたので、やっぱりこれも抑えておきたかったしね。

さて、期待に胸膨らませていざ読んでみると…。
別に学術論文を期待してた訳でもないし、巧妙なトリックを期待してた訳でもないけど、単なるミステリーとしてもどうなんでしょう? う~ん、何にも残るものがない小説ってとこでしょうか。酷評するほど、ヒドイわけでもないし、それなりに聖書関係の情報も描かれているんだけど、ほとんど知ってるしあのレベルでは。それを如何に加工して読み物にするかがプロの腕の見せ所でしょうに…、ただ書いてあるだけ。

いろんな陰謀があって騙しのうえに騙しがあったりと、問題の複雑化は進むものの整理されることなく、最後に安易に説明不足のまままとめている。まあ、一応それなりに説明付けているけどつまんないし、納得がいかない。根本的な聖書やイエスに対する謎解きがすご~くつまらない。そんなもん知ってるぞ~!どうせ創作なんだから、一ひねりしろって! 先日読んだ「ダ・ヴィンチ・レガシー」同様、ダ・ヴィンチ・コードの人気にあやかって便乗して売ろうというのだろうが、これは全然違う。あちらは、まだエンターテイメントしてそれなりに楽しめたが、こちらはちっとも面白くない。途中までは、期待させつつ引っ張るんだけど駄目でした。

まあ、今回の出版に際してこの作品もリニューアルしてるそうだけど、話のネタが古いうえに陳腐過ぎ。聖書関係の情報・知識の説明が下手だし、事前に知らない人には不親切、知っている人は内容が薄っぺらいのでこの本いらな~い。あ~あ、期待していたので悲しい。

Q資料の話や、オプス・デイまで出てくるが、オプス・デイは必要性がないのに、無理にダ・ヴィンチ・コードに便乗したくて付け加えたのではないか?と疑ってしまう。リニューアル前ではどうだったのだろうか??? 

新しい聖書の内容も正直イマイチ。どうせなら、ナグ・ハマディ文書とか死海文書とかを新しい聖書の説明で出しながら、効果的に使いこなしていないしね。著者はある程度調べているのは分かるけど、この小説に関する限り、意味がないかも?

「ダ・ヴィンチ・コード」とかの関連書として読むのだけは避けるべきです。後悔しますよ~私のように。高かったのに図書館になくて買ってしまった(鬱)。誰か、半額で買ってくれないかなあ、ふう~。

普通の小説としてなら…まあ、2流ぐらいの小説としてなら、読めるかも? 3流とはいいませんが、1.5流というのも辛いぐらい。あとがきの訳者さんの言葉では、ダ・ヴィンチ・コードと比較しているけど、それはいくらなんでもうぬぼれかと? 何十年も前の作品でも、いいものはいいし、駄目なものは駄目でしょう。そうそう2匹目のドジョウを狙ってもね。騙されて無駄使いするのは私だけにしておきましょう。あ~あ、金と時間の無駄だった。

ちゃんとしたQ文書の本でも読むか。少し前に買ったのが、部屋に積読状態だったのを思い出しました。

イエスの古文書〈上〉(amazonリンク)
イエスの古文書〈下〉(amazonリンク)

関連ブログ
「イエスの弟」ハーシェル シャンクス, ベン,3 ウィザリントン 松柏社
「ダ・ヴィンチ・レガシー」ルイス・パーデュー 集英社
イエスの兄弟の石棺は偽物 CBSニュースより
posted by alice-room at 18:39| 埼玉 ☁| Comment(4) | TrackBack(1) | 【書評 海外小説A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは~。私もこれの上巻をよみました。
つまらなかったです…。人物が良くないんですよね。
とにかく可愛げがない(笑)小説として出来が悪い。
読むのを中止しました。これ読むくらいだったら
「聖骸布血盟」のほうがずっと面白いと思います。

Posted by 羽村 at 2005年10月28日 17:54
羽村さん、こんばんは。あっ、読まれました、コレ? おっしゃられるように人物が魅力的とは言い難いですね。上下で買ってしまったので、もしかして面白くなるかと一縷の望みを託して、全部読んでしまいましたが、時間がもったいなかったです。
「聖骸布血盟」いいんですか、やはり。ちょっと、気になっているんですよ~。本屋で平積みのを何度か手に取っているんですが、新刊だからすぐなくなることもないだろうと、我慢&我慢。未読の山を減らしてからと思っております。今週末は神田の古書祭りもあって、資金ショートしそうです(笑)。でも、しっかり<読みたいリスト>に入れておきますね。情報有り難うございます。
Posted by alice-room at 2005年10月28日 21:30
この本を読んで、イエスの真実がわかると思っていたら、結局 そういう内容じゃあなかったと落胆するかもしれませんが、作者の目的は別なところにあると思います。

偽物と本物の区別がつかない人間。

奇跡の話が乗ってる本を信じたり、UFOは宇宙人の乗り物だと確信したり、キツネ猿の生息に関する言葉だったレムリアを、古代に栄えた超進歩した国家だと信じたりすることを人間はしますよね。

それを信じて一生を終わること自体、それぞれの人生だし勝手なのですが。

「レムリアは超進化した古代都市などじゃなかったです。」と発表した人がいたんですが、誰も耳を貸さず、「光線銃を使い」など どんどん話が膨らみ楽しんでいく人が増えましたよね。

つまり人々は楽しい方に向かっていき、それが誤解だとされても、無視して間違えている方を擁護してしまう愚かな存在。

そういう意味で、ヤコブの福音書を簡単に信じてしまい、人々は幸福感に浸ったわけです。

それはとりもなおさず、新約聖書が真実かわかっていないのに、いや 旧約聖書を元に書かれた創作文学の可能性が非常に高いのに、人々はその内容は現実に起こったことと、簡単に信じてしまっていますよね。

その人間の浅はかさを辛らつについているのが、この作品だと思うんですね。

主人公の父親が偽書を本物だと思い、長年疑いながらも信じていたが、やはり自分は間違えていなかったと確信しましたよね。


父親はそれが偽書だと知らなかったので、長年の労苦は報われたと幸福感に浸って死んだわけです。

では、偽書だ、創作の物語だ と立証された後も、人々はそれが無かったかのように信じるか。

レムリアやアトランティスのように、わかった後でも超発展した古代に存在した大陸だと信じる人々が多い。

そこまで愚かな人々に対しても、目を開かせることは、大きなお世話なのか。
盲信して死ぬまで信じていればそれでいいのではないか。

主人公はそこで終わりませんでしたよね。
何故、ゴリアテに向かうダビデのように、無謀だとすることをやろうと決意したのか。
彼の恋人の言っていた意味がわかったからですよね。

この作品の筆者も、その考えで書いたのではないかと思います。



Posted by アリー at 2007年12月25日 12:26
アリーさん、こんばんは。コメント有り難うございます。

なるほど~、そういう見方もできますね。読んでるときは、全然考えていなかったのですが、確かに人は自分が信じたいことを信じるだけで、必ずしも正しい事や真実ばかりを尊重する訳ではないという一面もありますね。

ただ、個人的には小説としてもうちょっと楽しみたかったという気持ちが残りました。だいぶ前で私の記憶も既におぼろげなんですけど・・・。 ちょっと熱があるせいか、いさか朦朧状態でまともなコメントできなくてすみません。
Posted by alice-room at 2007年12月25日 20:43
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イエスの古文書、を読んだ。
Excerpt: アーヴィング・ウォレス著「イエスの古文書 上・下」を読みました。 ひさびさにちょ
Weblog: ヤサシイケド、ツライヨ。
Tracked: 2005-10-27 19:52