2008年02月26日

「超」整理法 野口 悠紀雄 中央公論社

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大昔のベストセラー本です。流行り物が嫌いなくせに、結構ミーハーという屈折した私的には、当時絶対に読みたくなかった本ですが、今ならほとぼりもさめただろうということで読んでみました。

それに本当に使える本なら、ブームが過ぎてもそこに書かれた原理・原則は生きているはずですからね(たぶん・・・)。

でもって、結論から言うと、基本的に正論だと思うし、いい加減な本ではない。でも、本書を読んで自分の役に立つ事あるか?と言われればゼロです。知っていることばかりだし、本書に書かれている以上のことを自分は実施していると断言できるから!!

何故なら、ここで述べられている本質的な整理法は、既にgmailによって100%以上実現しているからです。

要は『時系列整理法』ですが、何でもかんでもそのまま保存しておいて全文検索かけるのは、まさにgoogleの十八番です。同様にgoogleが提供している画像ソフトpicasaにあるタイムラインなんて、そのまんまですもん!

普通に情報整理を意識している人なら、誰でも当たり前に使っている話ですね。この説明で分からなければ、たぶん「情報」論で遅れてます。

ご存知のように、gmailではタグもあり、本書でいうところの分類に迷う場合のあいまいさも担保しています(=同時に複数分類可能)。さらに、gmailとブログの相互利用でより柔軟性がある(且つ自己拡大していく)外部記憶にまでなっていると思います。これって、凄いことですよ~。

このように技術進歩が本書で著者が書いている『時代』を遠く追い越している以上、技術的なノウハウとしては陳腐化してます。また、本書で書かれている原理原則は現在も妥当してますが、もうそういう基本的なレベルでは差がつかない時代ですので、結果的に意味がないものとなっています。

そういったこととは別に、根本的なところで著者に対して異論があります。私の場合。著者は、分類することによる弊害を挙げていますが、むしろ分類する事で、対象物の評価が変わり、他の物との新しい連携に繋がりが生まれると思います。そこに新しいアイデアの芽があると思うのですけどねぇ~。

同時に、私は書類は基本的にエッセンスだけを抜き出した後、一定期間後にためらうことなく捨てるので常に適正量であり、整理の必要性もあまりないです。本も埋もれる事はあるものの、相当量を常に処分しているので著者の論理には、承服しかねるところが大です。

まあ、確かに歩くのは脳に良い刺激を与える点だけは、同感ですけどね。私もひたすら歩くようにしていますし。

むしろ、本書を読んでいて頭に浮かんだのは、リアルタイムで売れている勝間和代氏の「自分をグーグル化する方法」って本のことです。まだ、全部読破してませんが、野口氏が言いたいことをよりシンプルに現代的に行っているのが、この本の内容になります。

もっとも、勝間氏はあまりタグとか使っていないようで、その辺、私はどうかと思いますけどね。私の場合は、gmailのアカウントを複数使い分けて用途別にしてますし、ローカルPC内とネット上で常にダブル以上にバックアップとってます。そんなのは、当たり前でしょう。つ~か、していない人の方がビジネスマンとして疑問?なのだが・・・。

そして、あえてPCとは別に手書きのメモや大きくノートに書き出すことで、発想を広げたりするのは、常識でしょう。アイデアや問題点を明確化し、仲間と話す事でそれをブラッシュアップし、伸ばしていくのも今時、当然過ぎる話です。

個人的には、そういうのは結構好きで昔は異業種交換会とかにもよく出ていましたが、質がイマイチで時間の方がもったいなかったので最近は、出たことないなあ~。う~ん、今の仕事は業者と商談とかないし、会議もちゃらくて刺激無いなあ~。もっと、ハードな仕事もしてみたいかも? 

とりあえず、明日も事務処理の合理化の為のツールを作らねば!!
【目次】
序章 あなたの整理法はまちがっている
1整理は分類か
2分類の陥穽
3アリアドネの糸

第1章 紙と戦う「超」整理法
1押出しファイリングの基本思想
2押出しファイリングの実際
3名刺も時間順に
4本の分類は可能か

第2章 パソコンによる「超」整理法
1情報管理の基本思想をくつがえす
2パソコンに何をさせるか
3パソコン超整理法の実際

第3章 整理法の一般理論
1反分類型整理法の系譜
2整理法の分類学
3最適な整理法は何か

第4章 アイディア製造システム
1発想法は存在するか?
2取掛かり
3ゆさぶり
4ひらめき捕獲システム

終章 高度知識社会に向けて
「超」整理法―情報検索と発想の新システム(amazonリンク)
効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法(amazonリンク)

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「日経ビジネス Associe (アソシエ) 2008年 2/19号」日経BP出版センター
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「デジタル書斎活用術」紀田順一郎 東京堂出版
「分類する技術が仕事を変える! 」久我勝利 日本実業出版社
posted by alice-room at 21:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスA】 | 更新情報をチェックする
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