2005年11月05日

「カンタベリー物語」チョーサー 角川書店

時は中世14世紀。ご利益のあらかたなるカンタベリー寺院への巡礼を目指す道中、袖磨り合うも他生の縁、ではないけれど、道すがら集まった身分も職業も異なる人達の一行。旅のつれづれの慰みにと、一人一人が語るちょっと面白い話。教訓有り、俗っぽさ有り、エロチック有りで中世という時代に生きる人々の生々しい声を知ることができます。

日本昔話の黄表紙版とでも言えばいいのかな? とにかく俗っぽいのですが、それがいかにも民衆の声らしくていい感じです。免罪符(=バチカンが発行するものでそれを金で買えば、現世での罪が許されるというもの)売りが、金持ちを口先三寸で騙してなんとかお金を出させよ売るとするあたりなんて、今も昔も変わらないなあ~と実に感慨深いです(ニヤニヤ)。

あと老人が若い妻を娶れば当然生じてくる、浮気への恐れとその結末なんて、どっかで聞いたような話だと思って読んでいると、まさに&まさに千夜一夜物語と同じノリです。もっともあれよりもはるかに品が落ちますけど…。まあ、どちらも読んでて楽しいのは一緒です。岩波の千夜一夜物語全13巻を読めた人なら、楽しんで読めると思いますよ~。もっともカンタベリーでは、美男美女は滅多に、魔人(ジンニー)はちっても出てこないのが残念ですが。

登場人物は本当に多岐に渡っています。参考までに挙げると・・・
騎士、家僕、従者、尼、僧侶、托鉢僧、商人、学生、法律家、郷士、小間物商人、大工、機織,染物師、室内装飾商人、料理人、船乗り、医師、牧師、農夫、家扶持、粉屋、賄い人、送達吏、免罪符売り、旅籠の主人。

彼らの口を借りて語られる話の数々は、なかなか魅力的で雄弁です。本書は、残念ながら抄訳で全訳ではありませんが、その雰囲気は十分に感じられます。試しに読んでみようという方にはいいかも? 私は嫌いじゃないな、こういうの。

そうそう、後書きをみたら、これって散文ではなくて、実は韻文(詩などのように、韻を踏んだ文章)なんだって原文は。翻訳文だから、そういうの全然解らなかったけど、原文で読めたら、更に面白いのかもしれないと思いました。

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posted by alice-room at 19:01| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 【書評 海外小説A】 | 更新情報をチェックする
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『カンタベリー物語』:イタリア・ルネサンスと中世生活世界
Excerpt: 後でできれば、論述したいが、今は簡単に触れるに留めるが、チョーサーの『カタンベリー物語』を読んでいるが、これが実に愉しいのである。文学作品でこんなに純粋に楽しいのは久しぶりである。  英国1..
Weblog: 外国文学(イギリス文学他)
Tracked: 2008-04-02 19:49
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