2008年03月25日

「チャップ・ブックの世界」小林 章夫 講談社

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名前だけは知っていたが、正直あまり興味がなかったジャンル。先日の国際稀覯本フェアにもチャップ・ブックあったみたいですね。別な本ばかり見てましたが、私。
オックスフォード英語辞典によると・・・
チャップ・ブックとは、書物収集家などによって、ある大衆文学に付けられた名前。かつて行商人やチャップマンにより流布したもので、内容は主として大衆向けの物語やバラッド、論説などを含む小冊子。
基本的に本書の内容は、事前に想像した通りのものでチャップ・ブックの歴史や内容、歴史的推移、その影響など実にバランス良く書かれています。

少なくとも高度な教育を受けたとはいえない民衆が、粗雑な(稚拙?)木版画により内容理解を助けられつつ、種々の情報を得る為に読んだ印刷物としては、なかなか奥深いものがあるようです。

印刷文化の歴史的観点からも、実に面白いと思います。と、同時に今現在でもビジネス書やハウツー物など実用書と呼ばれるたぐいの本への需要は大きいですが、チャップ・ブックで取り扱われていた題材も実は、その手のものが非常に多いのを知って、なんか愉快でした♪

私自身も、時々その手の実用書読んでいますが、ホント人間って進歩しないなあ~。当時の本でも、今日できることは今日のうちに済ませ、とか、働けるうちに働いて節約して老後の蓄えにしろ、とか教訓めいたものが受けていたそうです。

なんかさ、効率の良い仕事の仕方とか大真面目に書いてる現代の本と、質的には一緒なんですよ、実は。これって、超・受けるんですけど・・・(爆笑)。

この本自体は、教養というよりは完全なる趣味性の高い本ですが、本好きや印刷文化好きには、楽しめるものだと思います。私的には、そこそこ好きです。

このチャップ・ブックという形態(または、文化)を経て近代的な小説へと繋がっていく歴史的推移も分かりますよ~。
【目次】
プロローグ チャップ・ブック
第1章 様々のチャップ・ブック―宗教書・実用書・旅行記
第2章 庶民たちの愛したもの―笑話集・占い・魔女
第3章 名作ダイジェスト―『ロビンソン・クルーソー』を中心に
第4章 チャップ・ブックの精神―伝説のヒーローたち
第5章 歌物語の系譜―バラッドからナースリー・ライムまで
第6章 犯罪実録の盛衰―ニューゲイト小説への道
第7章 無名の作者たち―「グラッブ・ストリート」からハンナ・モアへ
第8章 チャップ・ブックの出版と流通―ダイシー、キャトナック、そしてチャップマン
エピローグ 消えゆくチャップ・ブック
チャップ・ブックの世界 近代イギリス庶民と廉価(amazonリンク)

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posted by alice-room at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 本】 | 更新情報をチェックする
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