2008年03月26日

「成功への孫子」ジェラルド マイケルソン、 スティーヴン マイケルソン 主婦の友社

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とても読み易い本です。書かれていることは、どれももっともなことです。でも、ただ箇条書きにしてあるだけの『標語』に価値を見出すのは難しいと思います。

日本のビジネス紙などにも、この手のよくありますが、想像以上に表面的過ぎて失望しました。そして、たいした文章量もないのに、いちいち<要約>としてまとめが書かれているのですが、その要約の内容が文章で言っていることと微妙にポイントがずれているのって何故?

原文がそもそもおかしいのか、訳がおかしいのか不明ですが、内容的にみて絶対に<要約>不自然だと思う。

著者ですが、元々軍事戦略が専門で、それを経営に応用したというのですが、経歴にはそれらしい点が全く読み取れません! 通常なら、OR(operatoion research)の専門家かと思うのですが、文章中にその片鱗さえ窺えないのですが・・・???

一応、私も学生時代はORは当然習ったので知ってますが、おかしいです。また、孫子がうんぬんといいつつもクラウゼヴィッツ出すってのはおかしいでしょう。

申し訳ないが、だったら最初から古典中の古典たるクラウゼヴィッツの著作を読むべきです。しかもここで書かれているのは、戦略などというにはおこがましいレベルの低次元。呆れ果てるとはこのことです。

本書を読むなら、「ガリア戦記」や「アレクサンダー大王東征録」、あるいは、石原莞爾の「最終戦総論」でも読んだ方が何万倍も役に立ちます。特に、読み取る力のある人が読めば、絶対に何らかの有意の知識を得られるだけの名著だと思います。

本書がどれほど、駄目かというと第5部を読むと、衝動的に火をつけたくなるほどです。これで孫子の知恵を生かしたという気でしょうか? なかなかに笑わせてくれます。

しかし、原著が本当に売れたのか大いに疑問です。ハウツー本の大好きなアメリカで、類書の多い中でこれが売れたのって読者に合わせてレベルが限りなく低かったからでしょうか? どうしても納得がいかない本でした。

ただ、誤解ないように言うと、個々に書かれていることが悪いわけではないです。あまりにも上っ面過ぎて、経験やら何やらあえて本で読むだけの付加価値を見出せない、この点が問題だと思いました。

まあ、読む価値のない本です。しかし、本当にこの人があのP&Gとかでコンサルしてたんでしょうか? う~ん、信じられません。
【目次】
第1部 成功をつかむのは、どんな人間か?
イントロダクション 自分とはどんな人間か?
己を知れ
誠実になりなさい
きちんと耳を傾けなければ敗北する
思いやりが意外な時に役立つ
リスクは成功者の必須要素
規律を守りなさい
創造力を発揮しなさい
低レベルに満足すれば、一生そこの住人になる
信頼のおける忠告を求めなさい

第2部 成功をつかむための戦略
イントロダクション 戦術の前につねに戦略あり
自分の戦いの場を知りなさい
個人的人脈を築き上げなさい
優れた戦略を立てなさい
戦わずして勝つには?
自分の長所を、相手の弱点にぶつける
避ける障害はきちんと避ける
磐石の立場を築く
現状を打破する
計画はこう立てる


第3部 成功に向けての戦術
イントロダクション 戦略と戦術との連携
攻撃態勢を取る
素早く動きなさい
弾みをつける
チャンスを利用する
この三つの手段が勝ち組の条件
戦略上優位に立つための高所の占領法
成功を次の成功への踏み台にせよ

第4部 競争に打ち勝つ
イントロダクション 何が最重要なのか判断する四つの忠告
勝つ方法とタイミング
巧みな攻撃が勝利を引き寄せる
タイミングがすべて

第5部 成功者の実話
コーチングの課題
奇襲作戦
ビジネスへの応用
日常生活のルールにする
有効な決断
成功への孫子―覇権国アメリカ的な孫子分析(amazonリンク)
posted by alice-room at 22:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスA】 | 更新情報をチェックする
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