一般向きを意図しているにしても、あえて読むだけの価値はないと思います。他の中世史関係の本で説明される範囲内でしか、記述がされておらず、知的好奇心を満足させるものは無かった。中世において、結婚はあくまでも土地の所有と結びついており、独身の女性(未婚・未亡人)は一人の法的主体として所有権や相続権を有し、訴訟等の主体にもなりえたが、婚姻により女性はほぼ一切のものを失い、配偶者たる男性に従属し、自らの権利もそこに吸収されるというのだけは面白かったかな?
あと、女子修道院では規模の小ささや種々の理由により教育水準が低く、若干の例外はあるものの時代を経るに従って、その教育水準へ低下が著しかったこと。当初はラテン語で出された上部組織からの指示・命令も、やがてフランス語、ついには英語(英国での場合)まで水準を落として、初めて理解された、なんていうのは正直意外でした。いくらなんでも、中世だったらどこの修道院もラテン語くらいはできると思っていました。全員ではないにしろ、修道院長ぐらいなら。でも、現実はこんなもんだったそうです。
それぐらいかな? ちょっと興味を覚えたことは。後は、ほとんど内容は無いです。時々、モノクロで「ベリー公の時祷書」の挿絵なども入るのですが、印刷がイマイチでちっとも綺麗でないですし、残念な内容。ページ数もなくてとっても薄っぺらなものでした。よほどの事がない限り、購入する必要を見出せない本でした。以上。
中世の女たち(amazonリンク)
ちょっと気になる記事だったのでお邪魔しました。
女子修道院の教育水準が低かったのは、低くしておきたかった
から、というのも大きいのではないかと…。何しろ、女は
人にものを教えちゃいけないことになってましたから、ラテン語
など覚えられた日には面倒だと思っていたのかも?
でも、夫が十字軍の兵士として留守の間、他国からの侵略を守る為に、有能な経営者兼指揮官であった女性もいたんだそうです。