2008年04月13日

「それでも古書を買いました」鹿島 茂 白水社

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本当に単なるエッセイ集。本を趣味とし、古書を購入したりする人達なら誰しも共感したり、いろいろと我が身を振り返らされるものの、それ以上のものはない。今回は内容が実に薄っぺらい。

著者はフランス19世紀本、特に挿絵本のコレクターだと思っていたのですが、本書の執筆時にはその枠を超えて、人としての道を踏み外されてしまったようです(笑)。美しい本を集める、いやあ~コレクターですね、ホント。

本の収納スペースから住居を決めたり、読まないけど、手元に置いておきたい、収集したいという観点から古書を購入する姿は、ああ、こういう方がビブリオマニアになられていく素養をお持ちの方なのかな?と、読んでいてふと思ったりしました。

もっともどこの世界も極めたマニアやオタクは、紙一重でまさに『神』の存在ですけどね。私には、そういうの無理だなあ~。

正直今回は、美しい挿絵もほとんど無く、ビジュアル的にもつまらないし、古書集めのディープな話題でもなく、物足りません。逆に言えば、一般受けしそうな、まさに軽いエッセイ集以外の何物でもありません。

古書マニアは、読む必要は無いでしょう。

ただ、読んでいてふむふむと思った点は、洋古書は読める人以外は買わないので顧客層が非常に限定されるという話。著者御自身もフランス語以外の本はまず買う気が起きないと書かれている。英語の本は読めるが、そちらも買わないそうだ。

私の場合だと英語がかろうじてぐらいなので、英語の本以外は興味を持っても買う気にはならない。挿絵や装丁だけで買うほどのマニアではない。だからこそ、うちのブログを読んでいると頻出する「ラテン語勉強しようかな?」とか「フランス語勉強しようかな?」という言葉に集約されるのであろう。

もっともそんなこと言いつつ、今月もアテネフランスの申し込みを迷っている自分がいたりする訳だが・・・。怠け者だ。

たとえ実際は読まなくても、そもそも読めない言語で書かれた本を買う気には、さすがになりにくい。今も手元にあるものの、買ってからほとんど開いたことのない、フランス語の本やチェコ語の本などは、私の愚かさの証以外の何物でもない。はあ~、重かったんだけどなあ~。

まあ、そんなことを思ったりしたわけですが、暇つぶしには悪くないか。今回、秩父の清雲寺の枝垂れ桜を見に行く途中、電車内で読む分には良かったです。でも、それ以上の価値はないです。
【目次】
1古書店さまざま
2買うか買わぬか
3あれもこれも
4こんな本も買いました
5愛書家鼎団 ブック・バインディングの世界
それでも古書を買いました(amazonリンク)

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posted by alice-room at 01:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 【書評 本】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
また書かせてもらいます。
私にはこの本は結構役に立ちました。
まあ、人の成功談、こうすれば金が儲かる・・・みたいなハウツーもの同様
すべてが、役に立った訳ではありませんが、私には参考になりました。
同様の本がわが国で何冊も出版されているなら、まだしも
このような本は、鹿島や荒俣の独壇場ですので・・・。
Posted by 愛書家 at 2008年04月14日 00:49
やはり、人によって感想が異なるものですね。私自身、洋書関係は弱いので自分の関心の有無のせいもしれません。

何でもそうですが、自分が経験したこと、興味を持っていることだと同じものを読んでも受け取り方が、全然違いますものね。

極端な話、同じ本を自分で読んでも、その主題に関心がある時と無い時では180度感想が変わることがありました。

「縁無き衆生は度し難し」は真理だと思いました。
Posted by alice-room at 2008年04月14日 21:06
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