読んでみた感想も、予想通りでした。
うん、なんというか場末の忘れ去られた地方の町で、流れ流れて行くところの無くなった人が一時、留まる・・・そんな場面が目に浮かびます。
男も女も生きるのに倦み、疲れ果て、死ぬのも面倒で覚悟もないのでその日、その日をなんとなく生きている。そんな切ないけど、その程度で生きている人間のありもままの姿が、そこはかとなく実在感があって物悲しくて、心に引っかかります。
同情や憐れみとは違うし、憤りでもない。ただ、生き物としての性(さが)のようなものが、なんとも形容し難い感情を呼び起こします。
本当に、ただなんとなく生きている。目標があったり、努力したり、幸せを求めたり、そういった価値観とはおよそ無縁な存在なのですが、頭では分かるのではなく、感覚でどっか共感できてしまうそれが、どうしても気にかかります。
男女の交わりなどもその好例で、ちょっとした成り行きの挨拶のようなものでしかないのですが、せいぜい軽いコミュニケーション(それ以前)の一端とかでしかなく、愛とか恋とかとは別次元であることを痛感します。私には、ちょっと分かるような、分からない感覚ですね。
でも、嫌いでない自分がいて、自分の中の相反する感覚に戸惑うこともしばしばです。こういうのも人間なんだなあ~って心から思います。
効率良く生きよう、とか目的志向的に生きていくとかいうビジネス書とかの対極にあるのですが、どちらも肯定できてします自分がいます。
私的には、宿も決めずにふらっと放浪するしちゃう感覚に近いものがあるかも・・・。
私はこういう話もそれなりに好きです♪
以下、独り言。
昔、パリに行き、深夜2時過ぎにおきてTVを見てたら、女性が裸というかエロティックな肢体で、横になっている映像が流れてきた。画面の上や下には、電話番号がずっと表示されていて、ダイヤルQ2の宣伝か、コールガールの斡旋かな?と思ったのですが、急に怪しげな日本語がBGMとして流れてきた。
おじさんの鼻にかかったフランス語っぽい歌なのですが、歌詞がよく分からない。何故か分からないが、それを聞いていて田中小実昌氏のことをイメージした。その理由が釈然としないのだが、漠然と思い浮かべ、深夜のホテルでそれをぼお~っと眺め、曲を聞き流していたことが何故か記憶に残っている。
あれはなんだったんだろう? 未だに何がなんだか分からないのだけれど、ふと気になったりする???
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