2008年04月27日

「ノートルダムの鐘」ヴィクトル ユーゴー 竹書房

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大変有名な作品で名前を聞いたことがあり、何故か粗筋もおぼろげながらに知っていたりするが、一度も読んだり、見たりしたことのなかった作品でした。

個人的にディズニーって嫌いだしね。日本人って全く気付かない人も多いですが、何故、ああまでディズニーが世界の人々に受け入れられつつも強烈に毛嫌いされているか、少し考えればすぐ分かるんですけどね。知らない方は、少し無邪気過ぎるかも? 有名なお話ですのでここではこれ以上触れません。

まあ、いささか偏見を持っていた私ですので、なかなかこの本に手を出せなかったりする。で、読んでみると・・・。

第一の感想は、全く読む前からの想像通りの内容だったが、それはそれで面白かったってことです。と、同時に・・・この本の訳ってディズニー的な歪みが既に入っているのか? それとも元々の原作がこれなのか? 訳者による恣意的な要素があるのか?ってことが大変気になりました。

他の本で訳を読んでいないので、なんとも言えませんが、この本はこの本で相当疑問(!)が残る内容でした。

率直に言って、キリスト教的価値観の押し付けが著しい。現在でもカトリック国であるフランスの、ユーゴー時代に書かれた作品だからからだろうか? そこが分からないのでなんとも言えないのだが、ジプシーに対するキリスト教的偏見と都市秩序維持の観点から見た現代にも通じる実際的な視点がリアルであり、カトリック以外は全て異教徒と看做す世界観がかなり不快である。

異教徒をそもそも断罪したうえで、人類に共通の美徳を並べ立ててもそりゃ『偽善』としか見られないだろう。まさにそれこそがディズニー作品のキーワードであり、世界中の人が嫌う真の理由なのだけれど・・・。

日本人のお母さんが子供にディズニー作品を見せているのを知るたびに、自分でその作品の意図していることをご存知なのかと不安になる。
そういう人達が安易な大人になり、国連主義を主張したりするのではないだろうか? 

素晴らしい理念を語りながら、実体として無秩序と各国の利権漁りで堕落した国連の運営状況をご存知なのだろうか? 国内の社保庁の状況さえ分からなかったで済ませる人々だし、仕方ないのかもしれないが・・・。そういやあ~会社説明会で破綻が見えていた年金制度を前提に経済を解説していたどうしょうもない会社があったが、山一證券だったかな? あの後、つぶれたもんなあ~。そりゃ、当然だと思ったものでした。

話がだいぶそれてしまいましたので、本の話に戻ります。


【注意! 以下、一部ネタばれ要素あり】










本書は、とにかくキリスト教的(+中世的)価値観で満ち満ちています。教会内を「サンクチャアリ(聖域)」として、世俗の権力とは一線を画し、そこに世間で受け入れられないモノ(者?)としてせむし男のすむ場所としていることや、ジプシー娘をかくまう場所にしているのも興味深いです。

また、中世の祝祭としてしばしば挙げられる世俗の価値観の『逆転』なども、フレイザーの「金枝篇」を待つまでもなく、メインの舞台にすえられています。

パリの共同墓地の地下空間などもまさにパリのキリスト教的世界であり、現在もカタコンベで有名です。そういえば、「オペラ座の怪人」の地底湖も実在しますしね。楽しい世界です♪

あとあと世俗の裁判や処罰に対して、我関せずとする教会の姿勢も実に正当な描き方がされている。また、都市に暮らす民衆と都市管理当局との確執も中世的な世界観が分かっていると、それの延長線上にあり、実に興味深いです。

現在でもヨーロッパ各国でジプシーの人々に対しての根強い偏見がありますが、黒髪や赤毛はまさに彼らにとっては秩序破壊者の外的な印であり、悪魔なんでしょうね。それは地下鉄内などでも、いくらでも見かける事実ですし。

そうそう、そういったのとは別に思ったのですが、ファントムにしろ、せむし男にしろ、醜男は結局、幸せになれないのですね。美女と結ばれるのは、常にカッコイイ男か金や地位のある男だったりします。

いくら『愛』以外の貴重なものを見出した、とか得たとか言ってもそれって意味無いような気もしますが・・・???

妥協や諦めをもって、ごまかしているだけでなければいいのですが・・・。心の底から、人類愛や博愛を信じられるのでなければ、嘘はいけません。プロパガンダ的な胡散臭さがつきまとい、素直に受け取れませんでした。

う~ん、私が偏見に満ち過ぎている側面もありますが、この作品は視点をどこに置くかで、全く異なった意味を持つものになりそうです。いろんな角度から見ると、興味深いです。

その意味でも本当は原文で読みたい本ですね。翻訳者の能力によって、どこまで原作に忠実なのか、まずはそれが重要問題の気がしてなりません。出版社があの竹書房さんだしなあ~。(これも偏見ですが、他に出している本が本だけに・・・ネ)


ノートルダムの鐘 (ディズニー・クラシックス)(amazonリンク)
posted by alice-room at 01:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説A】 | 更新情報をチェックする
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