
しかし、この手の怪奇小説っていうのは、短編ながらも大概、読み応えがあって、独特の感慨を抱かせる素敵な読み物なのだが・・・本書はこのジャンルにしては、珍しくつまらない。
創元推理は、このジャンルでは定評があり、良質の作品が多いのだが、よくもまあ、これほど何にも印象に残らない作品ばかりを集めたものだと別な意味で感心してしまうほど、ヒドイ!
「まえがき」でさも上等な選ばれしセンスのある読者、な~んて感じで持ち上げながら、こんな作品を読ませるとは編者のセンスに大いなる疑問(?)を禁じ得ない。
平井呈一氏の爪の垢でも、マジ飲んで出直して欲しい!! 別に正統派の古めかしいのに飽きたとか、ひぬくれてみたとかいう編者の戯言も結構。ただ、「読者が面白いと思えば」というのが最低の条件。それをクリアできないうちに、身の程知らずのことは慎むべきでしょう。
とにかく怖いとも思わないし、不思議な感覚に陥る事も全く無いです。あまりにも普通の文章を、どうでも良い訳で読まされてもなめんなよとしか言えません。これを小説というのはおこがましい感じすらします。現在全体の4分の3まで我慢して読んだけど、いい加減勘弁して欲しい。
好きだった作家が、こんなにつまらない作品書いてたの?って、かえって嫌いになりそうです。ブラックウッドやダンセイニって、こんな駄目駄目じゃないはずなんですけど・・・・。
全ての怪奇小説好きに、間違ってもお薦めしない本です。残りの作品も気になるんだけど時間の方が惜しいので読むのをやめるべきか悩んでいます。
【目次】怪奇礼讃 (創元推理文庫)(amazonリンク)
塔(マーガニタ・ラスキ)
失われた子供たちの谷(ウィリアム・ホープ・ホジスン)
よそ者(ヒュー・マクダーミッド)
跫音(E.F.ベンスン)
ばあやの話(H.R.ウェイクフィールド)
祖父さんの家で(ダイラン・トマス)
メアリー・アンセル(マーティン・アームストロング)
「悪魔の館」奇譚(ローザ・マルホランド)
谷間の幽霊(ロード・ダンセイニ)
囁く者(アルジャナン・ブラックウッド)
地獄への旅(ジェイムズ・ホッグ)
二時半ちょうどに(マージョリー・ボウエン)
今日と明日のはざまで(A.M.バレイジ)
髪(A.J.アラン)
溺れた婦人(エイドリアン・アリントン)
「ジョン・グラドウィンが言うには」(オリヴァー・オニオンズ)
死は素敵な別れ(S.ベアリング=グールド)
昔馴染みの島(メアリ・エリザベス・ブラッドン)
オリヴァー・カーマイクル氏(エイミアス・ノースコート)
死は共に在り(メアリ・コルモンダリー)
ある幽霊の回顧録(G.W.ストーニア)
のど斬り農場(J.D.ベリスフォード)
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「妖怪博士ジョン・サイレンス」アルジャノン ブラックウッド 角川書店