2005年11月28日

「機械たちの時間」神林 長平 早川書房

1987年に出されたんですね、この本。もう20年近く前のSFなのに、全くと言っていいほど、古さがありません。いつもながらの神林氏の描く近未来(擬似未来?)像は、的確であり、またリアルであり、繰り返しで恐縮ですが日本の誇るSF作家というのは、これを読んでも納得できます。

火星での兵士(マン・マシン・インタフェースを脳内に装着した兵士)だった記憶を持つ男が主人公。生体脳とマシンが一人の生身の人間の中で通常なら一方向ベクトルしか持たないはずの時間を巡ってせめぎ合う。火星における敵マグザット。いるのか、いないのか、その実存さえ不明な世界で、男に降りかかる事件。時代を超え、場所を越え、記憶を越え、それでも主人公はかつての火星における戦友を尋ねて行動していく。

ここで展開されるのは、時間という流れを多次元的に捉えながら、その通常とは違う現状把握の過程で気付かされる、自分という存在。いつもながらとはいえ、神林氏に固有な世界観の認識手法が私の現実感覚を非常に危ういものにしてくれる。

こういうの読んでると、普通に仕事をして生きていくという日常観をふっと、突き抜けてしまいそうで怖いです。時々、こういうの読むと、全て捨てて旅に出たくなってしまうんだよなあ~。まあ、今はさすがに大人になったので(いい意味でか、悪い意味でか?)そういうことしないけど、考えさせられました。

個人的には、こういうのは好き!! でも、普通の人には、好まれないであろう作品です。月並みなポップカルチャーやサブカルチャーのような底の浅いエセ文化論的なものとは、およそ正反対な超ハードな方です。哲学的な思索がお好きな方にはいいかも? もっとも好きだといいながら、私もどこがいいのかよく分からないのですが・・・? でも、イイ!

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ラベル:SF 書評 小説
posted by alice-room at 22:11| Comment(2) | TrackBack(1) | 【書評 小説A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
alice-roomさんコメントありがとう
神林氏の小説よく読んでいますね。
確かに彼の小説は古臭さはなく新鮮な臭いがしますよね。
これからもよろしくお願いします
Posted by ケント at 2008年01月12日 19:48
ケントさん、おはようございます。
神林氏を含めたSF系の小説も好きで守備範囲だったりします。こちらこそ宜しくお願いします。
Posted by alice-room at 2008年01月13日 08:07
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機械たちの時間
Excerpt:  映画は断然ハードSFに限るが、小説はどちらかと言えば、ソフトタッチのファンタジーのほうが好きである。しかしたまには、ハード系のSF小説も悪くはないね。  本作はタイトルからしてガチガチのハードSFの..
Weblog: ケントのたそがれ劇場
Tracked: 2008-01-09 19:52
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