2008年06月04日

「日本を降りる若者たち」下川 裕治 講談社

著者の本は、アジアの旅行絡みで何冊も読んでいるし、それらは結構面白かった。本書はその延長線上で、今風の時代に迎合して、社会不適合者となった一部の若者達に焦点を当てて書かれたもの。

基本的に、著者の他の本でも読んだし、別な著者による本でも読んで知っていたよくある話がほとんど。取り立てて目新しい内容は無かった。

いつの時代でも、どこの国にも、主流から取り残された人々はいるし、まして資本主義の社会体制をとるなら、その存在が生じることは肯定すべきでしょう。

人の生き方なんて、いろんなものがあるはずだし、またあってもいいのでみんながみんな特定の社会に適合する必要はないでしょう。勿論、それが場合によっては死につながる場合でもあっても・・・しかたないことだと思う。

というか、人が他の動物と同様にある『種』として捉えるなら、適当に淘汰されることは格別重要視すべきとも思えないなあ~。別にニートやゆとりを卑下する必要もないが、それで生きていければOKでしょう。もっとも、現代の日本では、淘汰される可能性が一番高いのかあ~とか思うけど。

別にアジアの国(タイ)とかでなくてもいいような気がするけどなあ~。日本の山とか籠もって自給自足してもいいはずですが、所詮は生きていく力がない存在なのかもしれない。

まあ、私も勤勉に働く事に価値を見出さないし、何をしてもいいと思うんだけど、自分が楽しいと思えることさえしていればいいんじゃないかと思う。私自身は、とりあえずやりたいと思った事は、行動に移すべく生きてきたので、それが『楽しみ』ですが、本書に出てくる人達はつまんない感じがしてならない。

私も一人旅は国内・国外を問わず、よく出掛けるが、何もしないで旅行先の街を散策していることもあるが、常に知らない場所・店を巡るのが好きですね♪ 一箇所に長くいるのは、1週間以上いるのを旅と言わないでしょう。

個人的には本書に出てくるような人を実際に何人か知っているし、心情的には分からなくはないけど、自分に自信を持てず、口先だけで信頼が置けない感じがしてならない。

悩むなら悩めばいいし、それに立ち向かえばいいし、駄目ならこの世から消え去るのも選択肢ですが、なんだかなあ~。まあ、『ゆとり』の世代なんでしょうネ。

日本にはいらない人でしょうし、日本をいらない人なんでしょう。お互いの為にもそれは良い事でしょうね。

タイは私も二度ほど行ったことがありますが、物価安いし、人の性格は穏やかだし、湿度が高くなければ、いいところだと思うんですが、だからと言ってそこに埋もれる気にはならないなあ~。どうせなら、ブラジルの方がはるかに良かったもの。あそこの生活リズムが結構好き♪

本書を読む人は、窮屈な自我と自尊心の枠から逃れられずに苦しむ人が読んで、ささやかな安らぎを得るんでしょうね、きっと。私は、逆にむかつきましたけどね。

率直な感想として、心の底から思うのは努力している人がいいなあ~。自分自身に対して偽ることなく、仕事や生き方にプライドを持っている人を尊敬したいし、そういうのに憧れる。逃げるのは、嫌ですね。少なくともやるべきことをやり遂げて成果出してから、辞めちゃうのは私的にはOKですけど、辛いから逃げるのは、一生逃げていくしかなさそうですもん。

自分で自分を蔑む生き方だけは、したくないなあ~。

そういうことを考えさせる本ですかね。でも、この本あんまりいいとは思いません。ゆとりの愚痴もどき聞いて、それをメシのネタにしているだけの本でしょう。ごく一部に存在する事実を、あたかも一般的な事象のように採り上げる、あざといマス・メディ的な臭いがして、イヤですね。まあ、『まぐれ』の本の方が、これよかなんぼかマシで意味があります!

日本を降りる若者たち (講談社現代新書)(amazonリンク)
ラベル:沈没 書評 旅行 タイ
posted by alice-room at 22:50| Comment(4) | TrackBack(0) | 【書評 未分類A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
辛い労働環境を我慢するのが美徳、逃げ出すゆとりは死んでもいい。
そういう考えが日本中に溢れてる。
だから、自殺は増え続けるし、海外逃亡に至るんだよ。。。
Posted by at 2009年11月29日 02:15
沈むゆく船である『日本』から逃げていくのは、たくさんいることでしょう。それも自由でしょうし。
人生を降りちゃう人もいるでしょう。
でも、本当に自然と頭が下がり、見習いたいと思えるほどの努力をしている人を私は知っていますので、彼らを見た後では???と言わざるを得ない人が大多数なのも事実です。

良い悪いではなく、いろんなのがあってもいいはずです。後は、その人それぞれの選択の問題だと思います。
Posted by alice-room at 2009年11月29日 09:26
過去の記事なのに、コメント頂きありがとうございます。
私が思うに、この国の努力はハードルが高すぎるのです。。
過労死なんて言葉があるのは、サービス残業なんて言葉があるのは日本だけなんですよ。
それでも、経済が右肩上がりの時は良かった。
物質面だけは豊かになってたのだから、でも、もうそれすら無いんです、狂ったように働いても車も買えないのが今の『ゆとり』です。
被害者面はしたくはないですが、正直、真面目に働くのがもう馬鹿らしい。
今の『ゆとり』の大半にはもう物質面の見返りもないのです。
でもいくら『ゆとり』が主張しても無駄。『努力が足りない』『最近のゆとりは根性がない』と一蹴りされてしまうんです。
長々とすみません。ゆとり世代のワーキングプアに近い立場として、ついこのレビューを見て感情的に書いてしまいました。
Posted by at 2009年11月30日 02:59
こちらこそ丁寧にお返事頂き、恐縮です。
私みたいなのが言うのもなんですが、一生懸命に努力しているが正当に評価されない、逆にたまたまの状況で楽してうま~く生きている人がいる今の日本は、私もどっかおかしいと思っています。

真面目で仕事抱え込んでしまい、鬱になってしまった友人が何人もいますしね。私も事業起こして失敗したりとか・・・。

それでも、おかしいことをおかしいという為には、自分を信じて努力するしかないのでは・・・といささか自己暗示的に言い聞かせている面もあったりします。

確かに馬鹿らしい、納得行かないということが多々あるのですが、現状を許容するというか、諦めてしまうのだが嫌なだけで虚勢を張っているのかもしれません。

でも、まだやれるだけの事はやってみたいと私は思っていたりします。幸い、今のところは健康なので少しづつでも自分の身の回りからでも何か一つ良くなったら・・・そんなことを思って日々生きていたりします。

頑張ろうとは、気楽に人にも言いませんが、とりあえず出来る範囲から行動してみるかというのが自分の現状だったりします。たぶんに自戒の念を込めて。
Posted by alice-room at 2009年11月30日 20:33
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック