先日、100円で買ったので読んでみると、(かつての)華やかなベンチャーの旗手にしては、実に地道で中小企業のおっちゃん創業者の話かと思いましたよ~。
逆に言えば、それほどまでに地に足をつけた苦労人の創業者であり、世間で評価がコロコロ変わるほどの駄目な経営者ではない。確かに投資家を欺いたのは、良くないが、あの会社の株を買った人達の良識を私は疑ってならない。死んでもああいう状態の会社の株なんて買う気にならんもん!
高校生の時から株はやってますが、あの手の会社の株を買う人は、すぐに株式投資を辞める人ばかりです。たぶんNTTを買って、喜んでた人達と同じ類いの方々でしょう。
まあ、そういう事件の事はおいといて、本書に限定する限りでは、実に正統的です。徹底してあいみつをとり、何度もネゴしてコストを削減することで利益は生まれるとか、同じ業者ばかりと付き合うと癒着して駄目になるとか、おおっ~と以前いたベンチャー企業のオーナーに嫌ってほど、毎日聞かされた台詞です。当初の見積もりの三分の一くらいまで平気で落ちるもんなあ~。
電話一本、3分の交渉であっというまに500万円のコストが浮いたりしたのを実体験で経験しているので私は大いに頷いてしまいます。
あと新しい企画は、リスクが低いなら、とにかく何でもやってみる! せんみつではないが、そのうちのどれかが当たればOK!というのは、真理だと思う。現代のようにスピードが速い時代に、時間とコストを浪費するだけで事業化率アップにつながらない調査や検討をするくらいなら、まずはやってみる方が正解でしょう。
新規事業なんて、思いついた瞬間から陳腐化するのでやりながら、修正・改善していって、一定期間中に成果が出なければ、他のプロジェクトにスウィッチするぐらいじゃないと、勝ち残れないとホントに思う。
その点、本書では的確にその点を指摘しており、信頼に値するだろう。
あとね、パワポやエクセルのグラフ作成が時間の無駄で給料泥棒的な扱いをしているのには、全く同感です!
確かに社内での情報共有化、コンセンサスの獲得とか分かるんだけど、数値だけで分からないのは、ビジネスの世界では無能か、怠け者のどちらかでしかないと思う。
グラフやパワポって一見すると分かり易いが、その実、表現方法次第でかえってバイアスを増幅させ、正しい数値の認識から外れることもあるし、本書ではそれよりもデータ加工の為に貴重な労働時間を浪費している点を強く非難している。
確かに無駄だと思う。著者はご存知の通り、ITスキルも熟知したうえでメールで十分と言い切るのは、素晴らしい♪ 「エクセル、パワポ、時間の無駄」というのは、私も痛切に感じる。
実際、会議資料でエクセルのグラフやパワポは私使用したことないです。(悪いけど、勿論使用方法は知ってます) 数値の表みれば、トレンドや問題点なんて分かるはず。分かんない奴は、駄目駄目君でしょ!
ただ、エクセルやアクセスのVBAやマクロは大いに有用だと思うし、以前から使用しているけどね。
そういった点でも、著者の考え方には大いに賛同しますし、そこそこいいと思う。仕事の処理の仕方でも、すぐできる単純な仕事は、優先順位関係なくリアルタイムで処理し、時間のかかる大切な案件のみ別枠で優先順位をつけて処理するやり方は、基本中の基本!!
でも、これやってない人が実に多いんだよねぇ~。当たり前の事を、当たり前にやられていた著者はそういう意味でも本物の経営者だったんだろうなあ~と思います。
いろいろあったにしろ、もう一度事業を始めたら、きっと成功するだろうなあ~と心から思いました。いい意味で勉強になる本です。冷静に評価できる今だからこそ、読むべき本でしょう。
同じ本でもブームの時に読んで、今見向きもしない人は、本書の価値が分からない人です。きっと!
【目次】100億稼ぐ仕事術 (SB文庫)(amazonリンク)
0 ゼロカラ
1 ヒト
クライアントを増やす
部下を動かす
対人トラブルに対処する
2 ジカン
会議時間を短縮する
打ち合わせ時間を短縮する
仕事のスピードを速める
時間を有効活用する
3 ジョウホウ
自分に必要なものは何かを考える
デジタルデータを一元管理する
アナログデータをデジタル化する
商売に結び付く情報収集術
4 カネ
徹底したコスト管理で儲ける
必ず儲かるビジネスをやる
金は天下の回りもの
5 ツール
メール×キホン
メール×ヒト
メール×ジカン
メール×ジョウホウ
メール×カネ
∞ 100オクカラ